じっと手を見る午前2時

観たもの見たもの読んだものなどの備忘録です。

歌合乱舞狂乱 感想②

 各パート、歌ごとの感想と覚え書きなど。

 やっとこ本編の話です。


 その前に歌合における左右の割り振り。

 

・判者:鶴丸国永
・左方(赤)…万葉集
  今剣(講師)、石切丸、和泉守兼定、物吉貞宗、大倶利伽羅、巴形薙刀、籠手切江、明石国行、御手杵
・右方(青)…古今和歌集
  堀川国広(講師)、小狐丸、大和守安定、蜂須賀虎徹、にっかり青江、長曽祢虎徹陸奥守吉行、蜻蛉切

 

 組み分けの法則はよく判らず。何となく刀種や時代になるべく偏りがないように、みたいな?
 まあ、人数がもはや不均衡なのですが。

 

 以下、公式のセトリ順に思いついた感想やメモなど。

 

【奉踊】


 ずらりと並んだ浄衣姿の男士達が原始の儀式っぽいリズムの音楽(雅楽要素も有り有り)に合わせて炎噴き上がる中で踊るって何??何が始まった??!とドキドキしましたよね…。
 しかも全員表情がなく真顔で、ヒトではなくヒトの形をした何か感バリバリでした。
 今回は髭膝がいないので、この時点で誰??誰を見たら??みたいになってて誰かの定点カメラになることも出来ず、ありがたいことに初見が前方席だったこともあってオペラグラスなしで全体を割と満遍なく見たのが逆に混沌とした雰囲気に身を浸せて良かったような気がします。
 でも、やっぱりあの白い装束に平均女性の身長くらいあるのでは??な黒髪が映えることもあって兼さんを割と気にしながら見てたんですけど、いやもう美形達の真顔は凄いですね…(さっそく語彙が溶け落ちている)

 

【神遊び】


 いかばかり 善き業してか…と、件の昼目のあの鶴丸の歌い出し……。
 その前の第一声の長台詞も素晴らしかったですね…。松明、結構持ちにくそうな太さしてたけどそう見えるだけで実は固定できてるとかそんな感じなのかな。
 歌合後にボイトレとか今まで受けたことがないと岡宮くんがニコ生チャンネルで語っておられたのですけど、嘘やろ???!!!と思わずにはいられないこの朗々とした声の響きよ…。

 世の中には凄いギフトをお持ちの方がやはりいるもんだ。
 葵咲本紀の時にも思ったんですけど、ほぼ新人さんとは思えないあの発声、台詞の聞き取りやすさ…しかも単純に声が良い。発声の響きの良さが声の良さを増幅させている感じ。
 あの普段のツイートのお写真を見ると、本当にまだあどけなくてまだ赤ちゃんなのでは?と思ってしまうようなお顔をしているのに、舞台に立ってるのは紛れもなく鶴丸…。既に神降ろしされてますね???
 
 因みに忌火は字面だけ見ると不吉な…?って感じがしますが神道でいうところの「清浄な火」のことです。斎火とも書きますが、こちらの漢字だと意味との違和感がないかも。

 火鑽り(ひきり) 火熾し(ひおこし) 忌火絶やすことなかれ、と歌詞にあるように木と木の摩擦で発火させます。斎火とも表記する。
 神遊びは神前で歌舞を奏すること。

 明石に越えてはならぬ一線、の歌詞を当ててあるのホント不穏で良いですね…。
 あとあの、刀剣男士達、恋煩うって概念あるんです????あるの?????あるんですね???(食いつき過ぎ)
 あと、炙り出される本性、のとこの人外感溢れる青江の表情もとても好き…。
 能面の神霊系の若い男神に使われる神体(神容)という面があるんですけど、目に金色の金属を使って金眼なのですよ。(顕現時の桑名江、松井江が着けていた面は恐らくこれ)
 青江のこの時の目が照明の加減と相俟ってまさに神の金眼が如くの様相で!凄かった……。

 今からこういう感じで歌合するから!という掴みバッチリのOPでした。

 

【懐かしき音】
(天地の 神を祈りて 我が恋ふる 君い必ずや 逢はざらめやも/万葉集)

 


 脚本担当の浅井さん、縁側で囲碁をする石切丸を見たいと思って下さってありがとうございますありがとうございます!
 戦の絡まないミュ本丸の日常を見たいという夢がいきなり叶ってしまったな?!その1。
 (その2は長髪組の湯上がり風景)

 御手杵くんがその音……って引っ掛かったのは多分きっと自分が焼けた時の火の爆ぜる音だよね…つら…。

 囲碁組見たいし酒盛り見たいしお百度見たいしで目が全然足りなかったのでライブだけじゃなく本編にもフィーチャリング映像下さい…(切実)

 『お百度祷歌』のお地蔵さんに気付いてからの幾度 幾度願えば…何度 何度祈れば…のとこの手の振りが好きです。
 今回青江さんの『菊花輪舞』とかこういう手の振りが多い気がする。イネイミ…の誦文の振りも。覚えるの大変そうだけどカッコいいよね。

 

 この話に対応しているのは、

 

・鍛刀:炉(火)…パチパチと燃える木炭の爆ぜる音
・六根(五感+意識):聴覚

 かな?


【根兵糖合戦】
(世の中は 夢かうつつか うつつとも 夢とも知らず ありてなければ/古今和歌集)

 こんぺいとうがこんぺいとうでこんぺいとう過ぎてもう腹筋が疲労こんぺいとう…笑
 千秋楽後の夜中にTwitterトレンド1位を取ってしまった衝撃のこんぺいとう。

 

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 こんな歌唱力の贅沢な使い方もないな???!ってめっちゃ笑いましたwwww
 歌タイトルにもなってるConfeitoは金平糖の語源になった砂糖菓子という意味のポルトガル語ですね…。
 この身体お前とここで…と蜻蛉さん堀川くんが歌ってるとこで少し腰を屈めて片手で自分の太腿を撫で下ろす青江さんの振りがめっちゃ好きです…1950年代のアメリカンセクシーって感じ……マリリン青江か。
 蜻蛉さん…つか、spiさんの驚異的肺活量に圧倒されました。

 

・鍛刀:玉鋼(根兵糖の形との類似)
・六根:味覚

 

【ライブパート】

『Mistake』
 葵咲組の加わった『Mistake』〜〜〜〜!!!
 イントロ聴いた瞬間テンション爆上がりするしホント名曲ですよね…。
 しかも出だしが明石とか約束されしエロス…。
 基本明石は誰かと接してない時、ライブパートやお芝居パートで歌ってる時には目が全然笑ってなくて(口元が薄っすら笑うことはあるけど)彼の心の闇深さが滲み出てて良いですね。
 犯したいMistakeでモニターに抜かれる兼さんの顔が男前過ぎてギャワーッなってました。頑張れ私の語彙力。
 
『Impluse』
 まさか村正不在の今回にやるとは思ってなかったよね?!!しかも村正パートが鶴丸?!!!!ってホント驚きました…こ、こんなとこでも驚きをくれる鶴丸恐ろしい……。
 この曲で失敗したら太田さんに顔向けができない、と語るほど相当なプレッシャーが岡宮くんにはあったと思うんですけど、村正派とはまた違った『Impulse』になってて良かったなって…あとあのやたら接触したり距離が近かった振りは村正派専用だったんだなって…笑

 

『Stay with me』
 ミュ本丸の巴さんと石切丸は仲が良いな〜とか、青江さん不在の状況で椅子と言えば巴さんよね…と最初は割と余裕の顔でペンラ振ってたんですけど、蜂須賀姫が……蜂須賀姫が…(頭抱え)
 一度目の 見てよ この瞳、でギャワーッとなり石切丸と小狐丸にエスコートされる姿にヒェエッとなり二度目の千秋楽ではあっかんべーしてたところでアワワッとなり……はっち…世界で一番おひめさまだよ……姫で王子だよ……と茫然としてたらダメ押しのように巴さんと石切丸さんがやたらエロいおでこごっつんを披露してトドメを刺されましたよね…。初見の愛知公演より距離近くなってた。
 あとダンサーさんに絡む今剣ちゃんがセクシーだったのに安定とおでこごっつんしたところではただただ可愛いだけになってたの、ホント使い分けが天才的やな…と。
 あっかんべーのとこは目の横でギャルピース☆した指をピコピコさせたりいくつかパターンがあったので円盤に全部収録して?!!!ってなりましたよね…。

 

【にっかり青江 篝火講談〜夏虫の戯れ〜】
(夏虫の 身をいたづらに なすことも ひとつ想いに よりてなりけり/古今和歌集)

 

 交りは軽薄の人と結ぶことなかれ。
 上田秋成の『雨月物語』の中の一編、『菊花の約』を講談スタイルで語る青江。
 ライブパートの余韻を一瞬で吹き飛ばす声の深さ。
 人魂について「欲望が単純で(バシッ)幼く(バシッ)愚かで(バシッ)」と張り扇と共に畳み掛けていくところからどんどんと引き込まれ、緩急ある左門と宗右衛門と語り手の青江との演じ分けに息を呑み、『菊花輪舞』の歌と振りの美しさに見惚れて夢心地になっていたところを「お名残惜しゅうはございますが」とパッと明るく切り替えた声で目を覚まさせられる、という没入感が本当に凄くて…。
 私が観た範囲の中でも回毎に少しずつ演じ方が違っていたんですけど、どれも良くてでも円盤には一つしか入らないんだよな〜〜〜と舞台は生モノ、一期一会の非情をひしひしと感じました。
 あと歌…!
 今まで荒木さんはすっごく歌が上手いわけではないけど組む相手にいかようにも合わせられる器用な方、それこそ脇差のような歌を歌う方だな、と思ってたんですけども、『菊花輪舞』はもう発声からして今までと違くない?!とびっくりして…しかも座ったまま……。
 ステージがくるくる回る上で歌う姿は精巧に作られた和製オルゴールでした…。いや、あんな情念籠もった歌の流れるオルゴールがあるか。
 青江担の人達はあれ、無事だったんですか???

 そして深読みすればするほど青江さん?大丈夫??と思う この身に触るものの毒をゆっくり…、の台詞。
 かみおろし〜新刀剣男士が顕現するまで表情も動きも硬い、というのと関係している部分もあるのかも…。

 

・鍛刀:鍛錬(張り扇で釈台を叩く)
・六根:触覚(交る、触れる等)

 

【梅 the Way】
(梅の花 折りてかざせる 諸人は 今日の間は 楽しくあるべし/万葉集)

 

 元ネタがある青江の講談に対する、元ネタのない明石の噺。
 誠実に約束を守ろうと命を落とした話に対する、不誠実に不誠実を重ねていく噺。
 暇を持て余した明石の作り話の体を取っているが、歴史改変の話でもある。

 明石が今回の歌合において会話しているのは、小狐丸(伝説を仮託されている刀は多々あるが実在はしない)、今剣(実在しない)、巴形薙刀(物語もなく特定の刀でもなく作者を同じくしているわけでもない、形だけで分類された薙刀の集合体)、御手杵(ライブパートでのコーレス部分/焼失して本体が現存しない)。中でも御手杵に対しては自分から話し掛けている。………先の敗戦でGHQに接収され、ガソリン焼却後に海洋投棄されたという蛍丸を気にしているんでしょうね、やっぱり。
 存在ごとなかったことにしてしまえばいい、と明石が思うのは梅の木ではなく、蛍丸を失った歴史そのもの。
 明石が小狐丸の跡をつけたりしているのも、蛍丸顕現の可能性を探っているのかも知れない…と思うと、審神者は一刻も早く明石に蛍丸が顕現する可能性があることを伝えてあげて欲しい……。
 いや、我らはメタ的に蛍丸が実装されてるの知ってるけど本来は審神者にもどの刀が刀剣男士として顕現するのか知らないのかも知れないけど。まあでも、ゲームユーザーも次に実装される刀は判らないから、ミュ審神者もその状態なのかも。

 袖のない内番姿でも優雅に挨拶する今剣ちゃんとても良いし、折れた梅の枝抱える小狐丸さんは絵的にとても紅梅がお似合いでした…。劇中の本刃はそれどころではないだろうけどwww
 まあ、この二振は明石のイマジナリー今剣と小狐丸だと思うので…と思うと、見るからに正直そうな今剣ちゃんはともかく、明石さんは小狐丸をかなり優しくて善良と見てるんだな…( ˘ω˘ )
 
 そして正座しても太腿にあんなに隙間あるの凄いよ明石さん、と言うか仲田さん。凄いよ…変に膝開いてるわけでもなくちゃんと座ってるのに後ろの襖が隙間から見えるんだよ…(何処見てんねん)

 

 和歌有りパートだけど明石は歌わない。相槌である為か、明石は過去の歌人の歌ならばいざ知らず、己の心情をナマのまま歌うことにはまだ馴染めていない為か。

 葵咲で歌ってたのも御手杵と籠手切の不手際のことで自分の気持ちとかじゃなかったもんね…。

 

・鍛刀:相槌(講談に対する落語)
・六根:嗅覚(梅の花の匂いを嗅いでいる)

 

【ライブパート】

『Brand New Sky』
 幕末組+巴さん。今回フルメンバー揃ってるのってむすはじ組だけなんですよね…。
 兼さんの前世はタカアシガニだったんですか???という脚の長さに今回も釘付けになってたんですけど、巴さんが新体操のリボン持って踊り出したところでちょっとまじこれ持たせた人天才では?????!おひねり、おひねりを捻じ込ませて下さい!!!!ってなったのでホント…。
 あの身のこなしの優雅さにあのリボン……考えた人ホントありがとう…振付の本山さんかな?

 

『Nameless Fighter』
 お蔵入りしてもう聴くことはないかと思ってたので、イントロ流れた時には やるんだ?!!と嬉しくも複雑な気持ちになりました。
 複雑さは、牧島くんめっちゃプレッシャー感じるだろうな〜という部分で。
 再演しかまだ出てないから次の新作、本公演に出れて嬉しい、みたいなツイートをしてましたが、後継した初っ端が再演ってホント大変だったと思うんですけど、もう色々引っ包めてお前なら乗り越えられる、跳ね除けられる!って信頼を勝ち取った結果なんだろうな〜〜って、千秋楽終わった今ではこんな感じに振り返れるんですけど、現場で見てる時はただ伽羅ちゃんカッコいい〜〜〜、青江素敵〜〜〜で終始してましたwww
 
 牧島くんも岡宮くんと同じで、そのお顔でその声出るんです?!組だと思うんですけど、更に磨いていったら歌めちゃうま組に入れるんじゃないかな!と期待してます。

 

『約束の空』
 この曲好き〜。葵咲新入り4振+物吉くん、堀川くん。
 籠手切くんがホント楽しそうに歌い踊ってるのが可愛いな〜ウィンクもあざと可愛いし投げキッス前に真顔になるのも可愛い…。
 あと 約束を、の歌詞で小指を見せたり絡める仕草する御手杵くんも可愛い…。でっかい子が可愛い仕草するの良いですよね。

 

【大きなカブ…もといさつま芋】(和歌なし)

 

 回替わりアドリブ全部円盤に入れて欲しい…笑
 さつま芋が微妙に馬の形っぽいのはあれじゃろうか…兄者の大根に対抗してるんだろうか…。

 

・鍛刀:土置(刃文を入れる)
・供物:芋
(※和歌がない部分は対応する六根はない)

 

【徳川家/鯛】(和歌なし)

 

 これも回替わりアドリブ全部円盤に入れて欲しいwww
 吹き矢を信康さまに教えたの絶対村正でしょ…笑
 鯛を発見した時の家康さま、完全にポプテピのあのポーズやん???と思ったのをここで白状しておきます。
 あと秀康さまに おかえり、が言えたのがとても嬉しかったですね。
 貞愛は何かもう、口悪いのに信康お兄ちゃんには素直で可愛いし対父上には逞しいし、ホントいいキャラですね…。あといい匂いした…(客降り)
 
・鍛刀:焼入れ(水で急冷する)
・供物:鯛

 

【美的風靡】
(ぬばたまの 我が黒髪に降りなづむ 天の露霜 取れば消につつ/万葉集)

 

 け、軽装〜〜〜〜〜!!!!!!
 兼さん出てきた瞬間に ふぁああってなってたら牛乳一気飲みが始まって、このお酒大好きなのに小学生男子を失わないミュ兼さんホント末っ子愛らしい…。これは胡麻油も塗る…。
 自分も願掛けに椿油使いたい、と素直に言い出せないところも小学生…思春期?思春期なの??
 しかしどの回も結構勢い良く飲んでるのに全然口周りに牛乳ついてないの凄いなって思いました。
 あとあと、小狐丸と一緒になったことあるかって訊かれて んーん?って返したのも可愛かった…。
 謎の多い三条さん、で済んじゃうんだ…笑
 
 愛知と大阪公演に行ったので、はっちは内番姿と軽装と二度美味しかったです。
 兼さんと青江に比べるとやや襟を抜き気味に着付けているのも良き…。

 

 にしても刀ミュのウィッグ、ホント凄いですよね。殺陣をしようが歌い踊ろうが全然崩れないのは前々から凄いと思ってましたが、髪乾かすのに兼さんがばっさばっさ髪の毛触って広げてってしてもそのままにならず綺麗にまた纏まる…。
 もうホント、一度仕上げてもそれを完成形とせずにどんどん改良してってくれるヘアメイクさんや捌ける度にお直ししてくれる各種進行スタッフさん達には頭が下がります…。
 舞台は色んな要素で成り立ってるけど、役者さんの容姿がいくら良くてもビジュアルは完成しなくて、カッコいい!美しい!神様だ!って我々が思えるのってウィッグやメイクの完成度の高さ、衣装のこだわりあってこそだと思うんですよ。
 どれだけ脚本や演出、曲が良くても姿が残念だとそっちが気になって没入感が薄れるので…。

 話が逸れた。いやでもプロの仕事ホント凄い。
 そしてプロと言えば、堀川くんのギター…。
 こう、兄者や巴さんのバレエや膝丸のヒップホップダンスとか、役者さん本人が持ってるスキルを存分に使いますよね…笑
 今回のギターは阪本くん曰く事務所の偉い人からの要望だったらしいですが、赤いジャージにフォークギター、兼さんのドヤ顔が渾然一体となって思わずフフッとなってしまったんですけどwwww

 ミュ本丸の堀川くん、兼さんの髪は乾かさないけどいい雰囲気のところにギターを弾いてくれるし兼さんと一緒に寝てる。(愛知公演前説)
 土方組が同室で寝てるならこれは髭膝も一緒に寝てるな!笑

 

・鍛刀:刀身に油を塗る
・六根:意識(心)(仲間の無事を願う気持ち)

 

【ライブパート】

『描いていた未来へ』

 会場で観てる時はキャッキャしながら観てたんですけど、歌い終わって次の為に着替えて…って長曽祢さんめっちゃ忙しいですね?!って配信見てて気付きました。

 

【小狐幻影抄】
(ふたつなき 物と思ひしを 水底に 山の端ならで 出づる月影/古今和歌集)

 

 パリ公演でのあのアクシデントをこんな形に昇華させて来るとは全く思ってませんでしたね…。
 二つに分かれた小狐丸が一つにまた収束…と見せ掛けて最後にもうひと捻り明石を化かす構成も好き…。初見時はいつ入れ替わったのか判らなくて明石と一緒に ええ?!と驚いたり。

 白狐の半面姿の四振も可愛かったし振りも最高だったよコンッなんですけど、

 

・贋作の長曽祢虎徹→偽も真も
・炎に焼かれる夢を見る御手杵→夢も現も
・鬼の副長、しかし箱館に渡った辺りでは母のように隊員らに優しくなっていたと言われる土方歳三の持ち刀の堀川国広→般若も菩薩も
・かつての持ち主と共に墓に埋められたが掘り起こされた鶴丸国永→死者も生者も

 

 …って歌詞の振り分けが鬼ですね!(褒めてます)
 鶴丸は 人の欲望か神の気まぐれか、も担当してますけど、人の欲望で掘り返されたんだもんな…って…。

 北園くんは『あどうつ聲』であの個性的な歌声を能楽風に用いることで彼の演じる小狐丸としての色を更に豊かにしたと思うんですけど、今回の『狐や踊れ』と『ふたつの影』で表現の幅が更に広がったなぁと感じました。
 彼の個性的な持ち味の響きはそのままに、優しさや緩急の操り方が磨かれたな〜みたいな。
 
 『狐や踊れ』の歌詞にあった、翁、神、武者、亡霊、乙女、狂女、鬼、獣は能の題材。

 さてさてこれが真打ちか、で"最後に登場する物または人/最高の実力を持った物または人"と"刀における真打(同じ刀を同時に作って優れた方を真打ち、もう一方を影打ちとする)"のダブルミーニング

 

・鍛刀:真打ちと影打ち
・六根:視覚(食い違う目撃談)

 

【ライブパート】

『響きあって』

 シャッフルユニットってホント夢があるよね…。

 

『百万回のありがとう』
『勝ちに行くぜベイベー』

 客降り曲はもう、記憶がない…笑
 明石と兼さんがすれ違いざまに手をタッチするのを目の前で見たり、その兼さんの脚の長さの尻の小ささに慄いたり、サボろうとする明石をダンサーさんが必死に励ましてたり、伽羅ちゃんに黄色い声を上げたり、堀川くんの顔の小ささに我が目を疑ったり、柵に足掛けてスタンドを煽りに煽るはっちのお転売姫っぷりが可愛かったり他にも色々…。
 巴さん、明石、さだちはいい匂いしました。明石は香水じゃなくフェロモンらしいですけど…笑

 

『獣』

RTだったかな?で源氏兄弟がいないと最初のイントロのシルエットポーズが常識の範囲内だ…って言われててちょっと笑いましたww
 この曲もすっかり定番になりましたよね〜。好き。
 みんな脱いで露出度最高潮な中で更に自分で服を捲って腰の梵字見せつける籠手切くん強い…アピールポイントをよく判ってる…。
 センステも見たいしサブステの伊達組も見たいしで目が足りないし、毎回他を見ていて歓声起こる度に私何かを見逃したな?!!ってなってた石切丸の口で手袋脱ぐやつはライブ配信でやっとこ目にしました…笑
 脱いだあとすぐに口から離さずにしばらく咥えたままニヤッと笑うの反則だと思います…御神刀なのに観客を殺しに掛からないで!!(いいぞもっとやれという顔)
 ホントどの曲も目が足りない…フィーチャリング映像頼みます……。

 

【黒き影、寇す】


 寇す、の読みは あだす。
 外から攻め込む、という意味。

 今回、サブステはセンステより常世に近い場所として位置付けられてるのかな?と感じました。

 

・幽霊を斬った逸話があり、死んで約束を果たす話を語る青江。(菊の花は魔除けの効果があると信じられていた。重陽節句では邪気を払い長寿を願う意味で菊を飾ったり菊花酒を飲む。)
・長髪の三振。古来長い髪には神や霊力が宿るとされていた。椿も神聖な植物で魔除けの効果があるとされている。(ここでは油だけど…)
・徳川家…現代では既にいない、過去に生きた人達。死者。鯛もまたおめでたいとされる魚。(禍々しさもなく死んでる風でもないのは信康と貞愛が物部で、かつて物部として動いた過去の一場面だからかな)

 

 それぞれの話に魔除けやおめでたいものが含まれているのは悪いものを牽制する意味があったのかな、とここで現れた歴史遡行軍を見て思ったんですね。
 サブステから現れた遡行軍は八振。
 語られた物語も八つ。刀剣男士をかたち作る八つの要素。人の肉体を得ることで生じる八つの苦しみ。

 現れた遡行軍が退けられたのは、刀剣男士達が今まで語った話と魔除けの効果によるものかな、と。あと、昼目の神=天照大神にもしばらく留まって貰ってますしね…。

 

【かみおろし】

 

 歌を捧げ言葉を捧げ、攻め込んできた歴史遡行軍も退けられた。神降ろしの儀式のクライマックス。
 少し前、脱いで光る棒振り回してたとは思えない神様達〜〜〜〜(ひれ伏し)

 交わされた歌 物語 神降ろし…、のメロディーは『神遊び』の歌い出しの いかばかり 善き業してか…、と同じもの。
 この本丸で皆がそれぞれ過ごした時間、思い出、それによって生じた感情、歌を新しい刀剣男士を喚ぶ依り代にするって凄い話ですよね…。
 言葉と歌は、この本丸においてただの意思疎通の手段や娯楽ではなく、神聖なものである。
 何で刀剣男士が歌い踊るんだよ!!という誰もが一度は考えたであろうこと、ミュージカルであることの意味へのアンサーでもある気がしました。

 

【君待ちの唄】

 人の身体が作られていく過程を歌う裏で、歌合の判者と講師を勤めた鶴丸国永、今剣、堀川国広の三振が刀が作られる過程を歌っている…。

 

①心臓 (玉鋼 水減し 小割り)
②血液 (積み沸かし 折り返し 鍛錬)
③目 (造り込み)
④手足 (素延べ)
⑤耳 (火造り 鋒 鎬 茎)
⑥口 (生研ぎ 土置 焼入れ)
⑦呼吸 (鍛治研ぎ)
→産声を上げるだろう

 

 八つ目は…宿れ、と歌っている"いのち"であり"歴史=それぞれの刀の持つ来歴、逸話、物語"かな?
 "かたち"、"からだ"と表されるものが七つの過程を経て産声を上げたもの、しかし器が出来ただけでは刀剣男士にはなり得ない。
 刀剣にとっての命、歴史が、人の身を得た時に心や性格になる的な…。

 それはさておき、七つ で 肺に空気を吸い込めば、と歌う兼さんメイクの加減もあって作画がめっちゃ神様ですね…。
 目尻側が古代エジプトの壁画みたいなアイメイクの強さと白い衣装の反射でか、これまでのお芝居、ライブパートに比べて人ならぬモノっぽさがある気がする。表情がほぼないからというのもあるかも。お人形。
 
 宿れ祈れの部分の歌詞分けがまた歌っている刀剣男士それぞれに対応してて、

 

・籠手切: 生命(持ち主の稲葉正勝が死の直前に細川忠利に贈ったから?)
御手杵: (焼けてなくなった)かたち
陸奥守: 歴史(維新の際、歴史に大きく関わった坂本龍馬)
・安定: 身体(結核によって病死した沖田総司から?)
・物吉: (徳川家に勝利を運ぶという)契り
・明石: みそぎ ※
・蜂須賀: 宿命(贋作が多いことに悩む宿命?または、維新後も華族の中では有数の富豪であったにも関わらず戦前には没落し爵位を返上することになった蜂須賀家の有り様?)
・長曽祢: 役目(武士の出身でないにも関わらず最後まで幕府を守ろうとした近藤勇)

 

 ※明石の「みそぎ」はパッと思いつくのは「禊」なんですが、物吉の「契り」が動詞ではなく約束を示す名詞として使われているなら、禊だけいきなり行為になるな??とちょっと違和感を感じました。
 明石と禊もあまり結び付かない…ので、蛍丸を失っている苦しみ→その「身削ぎ」?と次に考えたんですけど、いきなり慣用句が来るのもまた違和感がある。あと、明石はほぼ製作当時の姿で現存していることで国宝指定されている面もあるので、研ぎ減ったりもしてない…ので物理的には身を削いでない…。
 で、もう一度考え直してみて、明石国行の刀身の彫物は不動明王の持つ剣=煩悩を祓う→禊??
 ということで、一周回ってやっぱり禊かな〜って落ち着いたんですけど、この微かな違和感を寄越すところ、何処か不穏な明石にぴったりですね!!!!!!

 

 こちらへ さあさあ、と呼ばう陸奥守と御手杵の共通項は焼け身になったこと=炎に縁がある→刀剣作成に欠かせない炎に縁がある→顕現前の刀に他より少し近い、というポジションだからかなー。
 単にああいう発声が映える2人だからかもですが…笑

 

 縁と言えば、判者と講師の三振。


鶴丸: 墓に埋められたことがある→ "死"への縁(生まれ来る前のモノへの縁)
・今剣: 実在しない→ 存在が他よりあやふやで現世への縁が薄い
堀川国広: 現存しない→ 土方歳三が持っていた脇差堀川国広だった、という言い伝えのみが現世への縁

 

 小狐丸は物語が仮託された刀がたくさんあり、代表されるものが石切剣箭神社のもの…火熾しの役目を持つ石切丸を巴形(物語がそもそもないが典礼に使用される)と共にサポートしてるのかな…と妄想を膨らまし。

 最後の 今こそ呱々の声(産声)を上げたまえ、の鶴丸の声も良き声ですね…。ロングトーン飛ばしながら後ろ向いて屈んで、てしてるのに音がブレない…腹筋がお強い…。

 

【八つの炎 八つの苦悩】

 ここに至るまで、神降ろしだ〜〜〜と思ってたのに実際に新しく刀剣男士が顕現するって深く考えてなかったんですよね…。
 神体の面を着けた「誰か」が出て来た時、本当に息を呑みました…。
 しかも私、初見が愛知1日目=松井くん初登場の回だったので、そこだけ観客の反応が他と明らかに違ってて、そんな今までは桑名くんが…とか全く知らなかったので暢気に今まではもしかして顕現はしたものの誰かは判らない仕様だったのかな〜とか思ってたんですけど、後からその時同行してた広島にも行ってた友達から広島では桑名くんだった、どうやら埼玉までは桑名くんだったらしい、という情報を聞いてそりゃあの反応、どよめきになる筈だわ…と納得しました。(そして①の鏡開き説を考えたりし始めた)

 面はあれ、双騎の冒頭と同じで咥え面だと思うのですが、録音ということを加味しても歌が、上手い…。あれ、桑名くんの時は桑名くんの歌声だったんです??(福井くんも笹森くんも初めましてなので歌声が判らない)

 

※1/30追記…桑名くん観た方から、歌声は桑名くんの時と違ってたよ〜と教えて貰いました!

 それにしても松井江、歌が上手い……え、めっちゃ上手いですね???
 春の新作が更に楽しみになりました!

 

 八つの苦悩は、四苦八苦の言葉で有名な八苦の概念。

 

・生苦
・老苦
・病苦
・死苦(ここまでが四苦)
愛別離苦…愛する者と別離する苦しみ
・怨憎会苦…怨み憎む者と会う苦しみ
・求不得苦…求めるものが得られない苦しみ
五蘊盛苦…五蘊(人の肉体と精神)が思うままにならない苦しみ

 (ここまでの全て合わせて八苦)

 

 そしてその中でも五蘊盛苦(ごうんじょうく)について歌詞の中で言及しているわけですが、五蘊とは

 

・色(しき)…人の肉体。変化して壊れていくもの。般若心経の色即是空のフレーズにある色はこれ
・受(しゅ)…六根(五感+心)を通じて感受する知覚
・想…心の中で像を思い浮かべることや、心に浮かんだ像のこと。物事のイメージを思い浮かべること
・行(ぎょう)…イメージしたものに対して意思判断を下すこと
・識(しき)…対象を分析して認識すること

 

 ざっくり過ぎる。仏教用語ですね。

 ただ生きているだけで苦しみがたくさんある、ということでしょうか。
 呼ばれて出て来ていきなり難しいことを言いおる。
 用語として難しいのもあるけど、ヒアリングしてすぐに ごうんじょうく…おう、五蘊盛苦な!って結び付く??!みたいな……私は初見では無理だったよ…つか頭パーンしてそれどころではなかった…笑

 難しい単語使うな、ではなくて、ネタバレ禁止と同じで刀ミュはここでも観客を信じているのだな、と言えばいいのかな?そこに対する期待の大きさを感じました。


 和歌もですけど、このスマホ時代、全文は覚えてなくても断片的な記憶を頼りに検索することが容易で、能動的に楽しもうとする行為が昔に比べたらもの凄く簡単になったと思うんですよ。
 まあ、ネット検索で出て来る情報は玉石混交なので、調べた上で原本に当たるのが一番なんですけど…と言うか、刀ミュで古典なり歴史なり文化なりを調べて興味を持って、その道に進むことも有り得るんですよね。
 原作ゲームをきっかけに自分の道を決めた人達が何人もいて、ミュはそこに古典芸能も最近ではぶっ込んで来ていて、まあ、思い返せば初期から既に気配はあったんですけど、運営側は今の観客なら双騎の曽我物語にしても今回の歌合にしても、付いて来れる、大丈夫!と思って作ったんだな〜って。
 勿論、そんな難しいこと考えたり調べたりしなくても充分筋は判るし、楽しめる。それぞれが思い思いに楽しめば良い、楽しめる作りになってる、というのが大前提としての話ですけども。

 

 閑話休題
 こんな苦しみが生じるのに何故呼び起こした、と問う新入りさんに 共に戦うため 使命果たすため
どうか力を貸したまえ、って返すのとても身勝手だけど、この世に生まれるものは遍くその身勝手によって産み落とされているのですよね。
 力を貸したまえ、って歌ってる側も己の意思とは関係なく生じているし、観ている我々もそう。

 ここで本当に恭しく腰を折って乞うている蜂須賀、まじで天女。めっちゃ巫女。刀剣に性別など飾りよ…。

 若い男神の面(神体)を外し、神から人の身を得て顕現…。ぶわっと花びらが舞い上がるのがゲームでの顕現演出と当然ながら同じでもう滅茶苦茶テンション上がりましたよね。

 

【あなめでたや】

 

 あまりに覚えやすい歌詞とメロディーで、もう最近事あるごとに脳内で刀剣男士達が歌い出すんですけどwwww

 きょとん顔というか生まれたての赤ちゃん顔を取り囲んで、めでたやめでたや歌うの、ホント出産現場!!って感じ…。
 何でこんな苦しみを……とさっきまで歌ってた子ですよ、と思うと若干ホラーですが…:;(∩´﹏`∩);:
 鶴丸が皆に紹介していたり今剣ちゃんが振り付けを教えてるみたいなのは微笑ましいし、中でも同じ江派が来た籠手切くんは本当に全身でめでたや!!!!!って感じで可愛いですよね。
 明石は何を思っているのか…蛍丸が来るとももはや思ってもないのか感情が読めない。
 蜻蛉さんはあんなええ声で 天晴れ 寿 松竹梅〜〜♪ って歌われると御利益凄いありそう…笑


 ぷーくぷくぷーく♪歌ってる兼さんは可愛い。

 ここまで書いて気付いたんですけど、私さてはかなり有澤くんの兼さん好きだな????

 

 兼さんと言えば最後に階段上がるとこ、浄衣着てるのに裾をガバッと上げて大股で昇るお陰で脚がかなりさらけ出されて、突然また現れる小学生男子……神様モードとの振れ幅がデカ過ぎるwwww

 明石はあれかな〜巴さん、小狐丸辺りががっしり掴んで向こう側には行かせない展開ありますか……
 葵咲では判らなかったけど、色んな男士達が明石のことをちゃんと構って輪に入れてるので本当にこの本丸の子達は善性の塊だな〜と思います。
 明石はあれはきっと三条大橋のボスドロ産だわ…。多分めでたやされてないわ…。

 

 しかし歌合、これは何度もできないよね…。
 オムニバス形式で本丸の日常が垣間見えたの楽しかったけど、仕掛け的には今回限りでも驚かない。
 ネタバレ禁止で何が起こるのか判らない状態だったからこそ、という部分が少なからずあったと思うので。

 今年の年末はまたらぶフェスに戻るのか、また別の何かがあるのか、5周年ということでそれこそ一度限りの何かがあるのか…。
 その辺は予想もつきませんが、春の新作や大演練、双騎再演もありますし今年もたくさん楽しんでドキドキして、と刀ミュの世界を堪能しようと思います。のでチケットご用意されたい…(切実)

 ……取り敢えず、今ばーっと書けた感想と思いつきメモはこんな感じです。長ぇわ。

 

 ここまでお付き合い頂きありがとうございました。