じっと手を見る午前2時

観たもの見たもの読んだものなどの備忘録です。

髭切膝丸 双騎出陣2019 アルバム感想

 髭切膝丸双騎出陣2019アルバム発売しましたおめでとうございます!

 お前どんだけ双騎について語んねんって感じですが、正確な歌詞が判ったことによる新たな気付きなどもあったのでまとめておこうかな、と思います。

 2部の楽曲中心です。

 あと、ちょこちょこBD収録の副音声やバクステの話題などもそのまま文字起こしすることはありませんが出しますので、その辺のネタバレ見たくないよ〜って方は御注意下さい。

 

 アルバムについてはCDも予約してたんですけれど、我慢しきれずに配信開始と同時にそちらも買ってしまったんですが、まず各配信サイトに登録されているアーティスト表記に驚きました。

 いや、そう書くしかないのは判るんですけど

 

 瞽女 from ミュージカル『刀剣乱舞』髭切膝丸双騎出陣2019

 

 何事かと思いますよねwwww

 いや、確かに瞽女なんだけどさ!

 令和の御時世になってアーティスト名:瞽女 とか目にすると思わないじゃないですか…笑

 

 そして続く

 

 一万・筥王(刀剣男士 髭切膝丸) from 以下略

 

 ちゃんと『巣立ちの舞』からは曽我十郎・曽我五郎になってるし!

 あと母上は満江という名なのですが、劇中で名前出たわけじゃないから表記は母なのね、とか…。

 演者のお二人が台本開いて役名と役者名の表記見てびっくりしたと言ってましたが、確かにこれは驚くかも…笑

 

 1部については歌詞の聴き取りがあやふやな箇所はそうなかったんですけど、一万と筥王の歌詞表記が、年齢に応じて ひらがな→ちょっと漢字も入ってきた→通常の漢字かな混じり と少しずつ成長していて、悲しさ倍増しました。

 言葉も覚束ない幼児達が父を亡くして、この無念晴らしてみせよう…って…ウウッ

 

 あと表記でもう一つ意外だったのが、『あやなす音』での「雪 どーんどーん」でしょうか。

 てっきり「雪 どんどん」だと思ってたら予想以上に降ってたという…笑

 筥王くんも箱根で埋もれそうになりながら雪掻きしてたんですかね…。

 これだけだとあんまりなので、「季節 彩なす音」と「絆 綾なす音」の対比も美しくて大好き!というのも書き添えておきます。

 ダンスにおける回転も兄弟で横と縦、即ち横糸と縦糸、と思うと絆綾なす、って表現も三浦くん高野くんの演じる髭切膝丸にぴったりですよね。

 (あやなす、の漢字表記は 彩なす/綾なす で、どちらも同じ意味なのですが、綾 はそれ一字で 色とりどりの模様を織り出した絹=綾絹 の意なので。)

 日本語の美しさが際立つ歌詞だと思います。

 『巣立ちの舞』の「鳴謝の唄」も、鳴謝自体は深く感謝するという意味の単語で、それ自体は他にも類語が多々ありますが、ここで鳴くという字の入ったこの表現を選ぶことで自分達を雁の子に喩えている心情が際立つなあと思います。

 歌詞も台詞も本当に言葉の選び方が美しくて上手いんですよね、刀ミュ…。

 

 アルバムでは歌も台詞も新録なので、そちらの部分も新鮮に感じつつ、本当にますます歌上手くなりましたよね、二人とも。

 特に三浦くんは歌い出しや歌い終わりの柔らかさの表現がグッと伸びたように感じます。管楽器とかも、力強く鳴らすのは比較的簡単なんですけど、柔らかい繊細な響かせ方をする方が難しいんですよね。腹筋で支えないと安定した柔らかさは出ない。

 歌い方が声楽寄りポップス寄りと正反対なのに声を互いにめちゃくちゃ寄せて合わせてるというのは最初の感想でも書いたのですが、CD音源になると身体を動かす必要がないからか、更に溶け合っていて、2部曲などではどっちの声だ?となることもしばしば…笑

 その分、ライブ音源のが歌い方が好きだな〜という曲もあって、その辺りの聴き比べも贅沢な楽しみ方だなと思いました。

 

 そして2部!なんですけど。

 アルバム発売によって

 

 ・愛されんだ事件

 ・不安定なFantasy Full ver.事件

 ・「兄者」と書いて「あなた」と読む事件

 

 と、大きく3つの事件が起こってまして…!笑

 

 取り敢えず順番に語っていこう…。

 今回は髭切膝丸の二振り+母上/瞽女/別当ということで、今までの他公演の2部と違い、既存曲も上手くチョイスしながら楽曲構成に物語性を持たせたものになっているな、と感じました。

 各曲ごとの感想はあとで書きますが、構成から私が受け取ったイメージは、

 

 ・『クロニクル』…源氏の盛衰とその重宝として一族を守ろうとしていたけれど出来なかった、その後も刀として在り続けた髭切膝丸の歌。

 ※ クロニクル(chronicle)=年代記 (真偽が定かでない伝説が含まれる時もある)

 ・『 Surrender』『Just Time』…二振り揃ってる時のイケイケな兄弟の歌。

 ・『不安定なFantasy』『Kizuna』…離れ離れになっていた髭切膝丸が片割れを求め想う歌。

 ・『獣』…本丸で刀剣男士としてまた共に戦うことになった髭切膝丸が再びイケイケに!(もうちょっといい言い方はないのか笑)

 ・『双つの軌跡〜交わる時〜』『刀剣乱舞〜髭切膝丸 双騎出陣〜』…ミュ本丸での髭切膝丸の関係性、その在り方。

 

 このような感じでした。ざっくりですが。

 (G線上のアリアに関しては少し公演後の感想に書きましたが、まだあまり考えが纏まってないのでここでは省きます。鷺娘のイメージで…と言われたあの女性は誰を表してるのか、個人なのか複数の女性の集合体なのかまだちょっとしっくりくるものがなく…。私的には虎御前の線はないかな。)

 

 今回アルバムで『不安定な〜』のFull含め、正確な歌詞を知るまでは薄ぼんやりとしかこの辺は考えていなかったんですが、上記の3大事件のお陰でもしやこれただの妄想ではなかったのか、だからステージ上での演出もああいう形だったのか、と自分的にしっくり腑に落ちた心持ちになりました。

 (あくまで私の中での話なので他の人に押し付けるつもりもありませんし、何が正解という話でもないので、見聞きした人の数だけたくさんの捉え方があるだろう、という基本的なことを前提とした上で私の見解を語ってます。

 

 因みにここでのステージ上での演出の話は、主に兄者の何故か客席ではなく弟に向かって贈られる投げキッスや、やや恐ろしさも感じられるほどの真顔で弟をガン見してる辺りの部分です。

 

 以下、曲順の感想と何故そんな結論に私が至ったかの話です。大体妄想逞しい。

 まあ、オタクから妄想取ったら何も残らないしな!笑

 曲や歌唱に関しては詳しい方がたくさんいらっしゃると思うので、そちらの感想を見て下さい。私の音楽の素養は小学生〜高校生まで吹奏楽部だったぜ、くらいのレベル止まりなので…( ˘ω˘ )

 

・クロニクル・ 

 桃源郷=源氏(河内源氏)が滅びず栄えること、砂に立つ楼閣=頼朝から三代で潰えた辺り、かな?

 因みに日輪の単語は太陽が天下統一の象徴だったことと、白地赤丸のいわゆる日の丸の旗を源平の戦いの際に源氏が使っていたのと関係するかな…平氏は金地赤丸だったし別にしないかな…笑

 

・Surrender・ 

 はい!愛されんだ事件の『Surrender』です!

 いやね、I surrender と 愛されんだ で韻を踏むネタって鉄板じゃないですか。

 でも、耳で聞く限りは男同士の信頼とか敬愛とかそんな感じの、歌ってるのが髭切膝丸なので、この場合はそのままストレートに兄弟の関係性の歌だと受け取れたので、そんな歌で愛されんだネタは使わないよね〜って思ってたんですよ…。

 なので、件の部分は発音的に I surrender に聞こえるなにがしかの英熟語= I shall なんとか〜 と I surrender なのかな?と予想してたんですが、歌詞を見てびっくり。

 

 I surrender 愛されんだ

 

 いやもうまさかね、そんなどストレートに兄弟愛ばーーんっと前面に出してくると思わなくて本当にたまげたんですけども…。

 「I surrender」の時点で、あなたには敵わない、降参だ、って何だか結構甘い感じじゃないですか。そこに更に「愛されんだ」をぶっ込むと、兄弟愛通り越してブロマンスっぽくなってしまうしさすがにそれはしないでしょ〜〜って勝手に思ってたんですが、結果は御覧の通りフッツーにぶっ込んで下さいました…。まじびっくり。

 この曲は、BDの副音声でキャストお二人が、弟の真骨頂ダンスだと言われた〜みたいなことを話してて、まあ髭切はこういうのは進んで踊らないよね、という感じのことを言ってたんですけど、こうして見るとダンスだけでなく歌詞も兄弟入り混じりつつやや膝丸っぽいんですよね。

 (三浦くん曰く、髭切は弟に付き合って踊ってあげてるそうで、副音声で「仕方ないね、弟」って台詞当ててくれてるんですけど、その声音が優しくて慈愛に満ちてるので、あの副音声はホントみんな聞くべきだと思う。)

 その上で、衒いなく堂々と「 I surrender 愛されんだ」と歌い上げている。

 もう全く自分への愛情を疑ってないこの感じ、どうですか…。

 この正確な歌詞を知って初めて、この公演は髭切膝丸の兄弟愛、対の刀であるという刀剣男士達の中でも特殊な関係性の持つ絆をとことん見せてくぞ!というものだったんだ、と気が付きました。

 

 1部は曽我物語を髭切膝丸が演じる、という体でしたが、ただ演じるだけなら十郎と五郎の最期を共に死なせるような改変はしなくても良かった筈。

 それなのに敢えて変えたのは、あの物語が十郎五郎に仮託した髭切膝丸の物語でもあるからです。

 (その場合母上は彼らを重宝とした源氏という一族の概念みたいなものになるのかな…)

 本公演では人数や時間の制約もあることもあって、普通にあの本丸にいて通常の範囲で出陣する限り、髭切膝丸の二振りが決意も強く手を取り合って…という状況にはなりづらいですし、剣巻準拠の対の刀だとしても今のように人の形を取っていない幼い頃から本当に仲が良くて…みたいな二次創作でなら見たぞ、みたいなシチュエーションを目にすることもまあ有り得ないですよね。けど、十郎と五郎に託せば、存分にそれを見ることができる。

 曽我物語を演じている以上、髭切膝丸そのままというわけにはいきませんが、その代わりに通常の髭切膝丸の姿では見ることのできないような仲睦まじさを十郎五郎に仮託する限りは目にすることができる。

 そして2部では、歌に想いを託すことによって二振りの強い絆を見せることができる。

 楽曲構成に物語性があるのはその為なのか、とアルバムが発売されてようやく素直に受け取ることができました。

 公演の感想の時点で「愛されんだって思ってました」とか書いてますが、その時点ではそんな直球に兄弟愛を全力で打ち出してくる筈がないと思っていたんですね…笑

 今となっては、そりゃ兄者も客席じゃなくて弟に投げキッスするし、弟も観客じゃなく兄者に指ビッってするわ!!って感じに完全に腑に落ちたので、本当に正確な歌詞って大事だな〜と思いました。

 

 で、その歌詞なんですけど、立ち止まっても膝を折っても相手を感じて立ち上がってるのが『Surrender』です。

 それに対して、君さえいるなら立ち上がれるはずでも(君はいない)のが『不安定なFantasy 』……待って、後者はただの空想的なラブソングと思ってたけど、この2曲もしかして対になってるな??ラブソングと見せかけてめっちゃ兄弟の曲だな??

 まあ、ここは本当にあくまで私の感じた解釈なので、異論はたくさんあろうかと思います。

 何でやねん!と思った方は、これ以降も何でやねんのオンパレードになりますので、そっとこのブログを閉じることをおすすめします。

 強火の妄想だと自覚してるので、苦情は受け付けませんが、誰かに自分の考えを押し付けることもありません。何を感じるのかは個人の自由なので!

 

 …と、再び予防線を張ったところで

 

・Just Time・ 

 ときめきに逆らえない、いやもうこっちの台詞ですね!な『Just Time』。

 イケイケ兄弟の曲と書きましたが、この曲では風よりも風になってくのに対して、『Surrender』では風は永遠を予感させて不意に凪いでいく辺り、『不安定なFantasy』とは別枠で『Just Time』と『Surrender』も対の曲なのかなと思いました。

 千年越えの二振りですが、共にあれば未来に向かってどこまでも突き進んでいける。

 キャストのお二人の若さともリンクした歌詞だとは思いますが、二振り揃えば無敵感がどの曲よりも強い歌だなぁと思っています。

 

・不安定なFantasy・ 

 Full ver.が!!!!来たぞ!!!!!な『不安定なFantasy』。

 公演時には客降り曲だったこともあって、夢女子製造ラブソングか?と思ってたんですが、前述の通り『Surrender』があまりに直球ストレートな兄弟愛ソングだったことと、Full ver.の歌詞を知ったことによって、この曲も空想色の強い遠恋ラブソングから、それに見せかけた離れ離れになった時期の兄弟が互いを想う歌に私の中で解釈が変化しました。

 

 離れ離れの時期の髭切膝丸の心情は『双つの軌跡〜交わる時〜』での追加部分の歌詞に顕著に表れています。

 「対なるもの 幾度 巡れば 出会える?」だなんて、通常の兄弟ではどんなに仲が良くても言わない。これは二振一具の刀である髭切膝丸だからこその言葉です。

 二振りで在るのが正しい形であると定められた刀であるからこそ、引き離されれば互いを求める。何故なら彼らは「満ちては欠ける 片割れ月の 光と闇」だから。

 片割れ月とは半月のこと。その光と闇ということは、即ち彼らは二振りが揃わなければ真円には成り得ないということです。丸い月の表と裏ではないんですね。

 

 そして、『不安定なFantasy』というタイトルからは髭切膝丸の持つ伝承のあやふやさを想起させられますが、恐らくこれは意図的なものなんだろうと私は受け取りました。

 ・不自由で不器用な幻想=架空の恋人を想う形で片割れに会いたい気持ちを吐き出していること

 ・曖昧で不確かな幻想=伝承のあやふやさによって関係性の揺らぐ片割れの存在

 なのかな、と。

 

 二振りでいれば永遠を感じさせるように凪ぐ風、未来へと吹く風は、この曲では乾いた風としていつでも二振りに吹きつける向かい風となっています。

 君さえいれば立ち上がれるのに、その君は側にいない。

 これらを考えると、やはりラブソングに仮託した離れ離れの兄弟を恋しく想う歌、1部で言うなら『あやなす音』ポジションの曲なのかな、という風に私は感じました。

 

・Kizuna・ 

 つはものでは客降り曲のひとつとして六振りで歌われていた曲ですが、こうして髭切膝丸の二振りだけで歌われるとあら不思議、分かたれた兄弟への想いを紡ぐ歌になりましたね??!とたまげたんですが、この曲、何よりも印象的だったのは公演の感想の方でも書いてますが、兄者がめちゃくちゃ真顔で弟を度々見つめていたところです。

 見つめ合うではなく、一方的に見てる。弟は恐らく兄の視線には気付いていない。

 兄だけが振り返って弟を見つめ、最後には一歩ずつ弟の背に近付いていくんですけど、その時の顔が本当に真顔。美形の真顔恐ろしい。

 髭切膝丸の伝承はあやふやだと書きましたが、どちらがよりあやふやかと言えばそれは膝丸の方です。何せものによっては膝丸は源氏の鎧だったりしますしね…。

 なので、つはもの本編において自分が実在しているか判らないから自分を箱根権現に奉納する義経の姿を見ない、という膝丸の不安は、膝丸という弟が存在しないかも知れない髭切の不安でもある。

 そう思うと、兄者が食い入るような真顔で弟を見つめるのも判る気がします。うっかり目を離したら消えるかも知れないんですよね、この弟。(だから今回の出陣で弟の実在性を補強した)

 ぱっと見、というか原作ゲームにおいて、兄者兄者と騒がしいのは膝丸ばかりで一方の髭切はのほほんとしていますが、少なくともミュ本丸の髭切は表には出していないだけで相当弟に執着があるのかな、と思いました。今回の出陣を審神者に進言できるのは、膝丸自身が審神者に箱根で不安を感じたと申告しない限り髭切しかいませんしね…。

 

・獣・ 

 刀剣男士として本丸で再会した兄弟がまたイケイケどんどん状態になった歌。

 これ、今回は髭切膝丸なのでこの二振りの曲に聴こえますが、実際どの男士達にも当て嵌まる歌詞なのが好きです。伊達にちょう人気曲じゃねーぜ!みたいなオールマイティーさ…笑

 右の手、左の手、と対称となってる部分が真剣乱舞祭での記憶もあって、やっぱこの部分は髭切膝丸が歌うのが一番しっくり来るな〜とか思っちゃいますけども…。

 アルバム版は公演時より「がなり」控えめですけど、Say 押忍!!が二振りとも雄々しくてテンション上がりますね。

 

・双つの軌跡〜交わる時〜・ 

 この曲については『不安定なFantasy』のとこでもちょっと書いてしまいましたが、「となり」から「交わる時」になっての追加部分が本当に衝撃で、初見時はあまりのことに二振りへの想いが募った挙句の都合のいい幻聴か???とさえ思ったんですけど、正確な歌詞を知って更なる衝撃がありました。

 

 「兄者」と書いて「あなた」と読む。

 

 いやホントこれが事件じゃなくして何が事件よ、とね?!!!(落ち着け)

 

 かなり重い互いへの想いをここまでも歌ってきてましたし、追加部分の歌詞も互いを切望して再び巡り会うのは今!という絆増し増し具合だったんですけど、「誰か」から「あなた」に進化したのは、この場を用意した審神者であるという可能性もあるかな…と考えてたんですよ。私がそう受け取ったとかではなく、聞いた人がそれぞれ好きにこれは誰のことかなーと想像できる感じの余白を用意しているんだろうな、と。

 そう思ってたんですが、蓋を開けてみればまさかの名指し!笑

 デスヨネ〜〜〜!!って初めて歌詞見た時は机に突っ伏しました。

 たとえ名前を思い出して貰えなくても自分は髭切という兄の弟であり、伝説は曖昧だけれど確かな存在だ、と今回の出陣で再認識することができたんでしょう。

 再演か、また別の機会かは判りませんが、いずれ兄者の「誰か」も「弟(と書いておまえと読む)」になるのかも知れません。そうなったら本当に最強兄弟極!って感じになりそう。

 

刀剣乱舞〜髭切膝丸 双騎出陣〜・ 

 二振りの刃が交わって放たれるのは煌めき、なんですけど、この部分で「きらめきに埋もれていたい / 溺れていたい」『Just Time』をちょっと思い出しました。

 作詞はそれぞれ違うんですけど、髭切膝丸を表す言葉としてある程度イメージは共有していると思うので。

 二振り揃えばときめきだらけのきらめきいっぱいだし、何なら風にもなるけど、刀としては万古不易(=永久に変わらないこと)って言い切っちゃうのも髭切膝丸らしいなと思います。

 

 

 ……また長くなってしまいましたが、ここまで読んで下さってありがとうございました。

 

 

 色々な公演がどんどん中止になっていっている昨今、今秋の再演もどうなるか現状では不安ばかりがつのりますが、一日でも早くまた舞台を憂いなく楽しめる日が来ることを祈るばかりです。

 

髭切膝丸双騎出陣2019 感想補足

 

 円盤発売されましたね〜。

 袖に引っ込むのは2人とも一瞬ということもあり、バクステが情熱大陸NHKドキュメンタリーかみたいな風情で新鮮だったり、刀ミュ初の副音声が付いたりでキャストファンや裏話聞くの好き!って人には嬉しい特典だったと思います。

 稽古風景も阿津賀志山異聞巴里の特番くらいでしか出てないよね?だったので興味深いな〜と思いつつ、キャスト2人がキャッキャしてたり真剣に稽古してたりな様子は孫を見守るお婆ちゃん気分で目を細めて見たりしてました。

 

 改めて色々見て、本編見直して、双騎の内容が曽我物語でも何で?!って私があんまりならなかったのは、まあ、前もって発表されたサブタイとか蝶と千鳥とかで察せられたからってのもあるんですけど、Fateシリーズを嗜んでいたのが大きかった気がします。

 Fateの世界では、過去の英雄を魔術によって英霊として召喚して戦うんですが、その際戦場になる国、場所に縁のある英霊には知名度補正によって能力強化が成されます。

 その英霊を知る人が多ければ多いほど、存在が確かになる、認知が強化に繋がる。

 なので、双騎を観て、あ…これは知名度補正の強化だ…って思ってしまったんですね。

 

 つはもので弟が自分の実在性に不安を見せる場面がありましたが、作中で回収されなかった伏線をここで回収しに来たのか〜と思ったし、今これを観てる我らはつまり兄者に利用されてるんだな?!みたいな暗い興奮を感じてしまい…笑

 

 何故なら、髭切と膝丸は物語、伝承でしか繋がりのない刀だから。(平家物語剣之巻)

 特に膝丸は伝承によっては刀ではなく鎧だったりもするくらいに存在があやふや。

 刀本体も、髭切膝丸の伝説を仮託された同名の刀は多々あり、とにかく物語ありきの存在。それが源氏兄弟です。

 仮託されたいくつもの刀の存在がなければ、彼らも今剣、岩融と同じく『実在しない刀』に分類されるんだろうと私は思っています。(まだ極が実装されていないので、どうなるかは判りませんが…)

 

 なので、そんな彼らを兄弟と信じてあの時弟刀は確かに箱根にいたよ!と認識する人が多ければ多いほど付喪神としての彼らの繋がりと実在性も強固になるのではないか、Fateシリーズで言うところの知名度補正の強化イベントに当たるのではないか、と思った。

 つはものにおいて自身の実在が揺らぐ可能性を察した膝丸の不安を聞いたのは髭切だけですよね。

 ということは、つはもの後に髭切が審神者に掛け合って今回の任務…令和の時代で曽我物語を演じることが実行されたと考えられる。

 2部で膝丸は今回のこの任務に驚いていましたが、髭切は自分は驚かなかったと嘯いていたのがその証左かな、と。

 

 髭切がどういう言い方したのかは判りませんが、この辺りの時代から曽我兄弟の知名度が落ちてきてるからちょっとテコ入れしてらっしゃい、みたいな感じで審神者Pに送り出されたのかな〜とか想像して。
 しかもついでに兄弟一緒に死ぬEDに改変してるし!笑

 

 2部で髭切は度々凄い真顔で膝丸には気付かれない形で視線を向けていますが(一番顕著なのはKizunaの時かな)、あれもこれで弟の存在は確かなものになったかな…という確認の意味での視線ならばあの真顔にも納得がいく気がします。

 

 そんな感じで振り返ってみると、今回の双騎出陣って髭切膝丸兄弟の存在性の礎になれる体験型ミュージカルだったんだな…と再確認させられました。

 あとは散々去年語り散らしましたが単純に絵面が美しかったのでそれだけで本望ではあったんですけど、それはそれとしてこの二振のドラマはドラマでまた別の形で見せて頂きたいのでSOGAとは別企画の双騎もお願いします偉い人〜〜!!!!という気持ちでいっぱい…。

 

 膝丸の「誰か」が「あなた」になったように、髭切の「誰か」が「お前」になる日が来るのを待っています。

 

 去年語り倒した様子のおかしい感想はこちら。↓

nirvana-3173.hatenablog.com

 

歌合乱舞狂乱 感想②

 各パート、歌ごとの感想と覚え書きなど。

 やっとこ本編の話です。


 その前に歌合における左右の割り振り。

 

・判者:鶴丸国永
・左方(赤)…万葉集
  今剣(講師)、石切丸、和泉守兼定、物吉貞宗、大倶利伽羅、巴形薙刀、籠手切江、明石国行、御手杵
・右方(青)…古今和歌集
  堀川国広(講師)、小狐丸、大和守安定、蜂須賀虎徹、にっかり青江、長曽祢虎徹陸奥守吉行、蜻蛉切

 

 組み分けの法則はよく判らず。何となく刀種や時代になるべく偏りがないように、みたいな?
 まあ、人数がもはや不均衡なのですが。

 

 以下、公式のセトリ順に思いついた感想やメモなど。

 

【奉踊】


 ずらりと並んだ浄衣姿の男士達が原始の儀式っぽいリズムの音楽(雅楽要素も有り有り)に合わせて炎噴き上がる中で踊るって何??何が始まった??!とドキドキしましたよね…。
 しかも全員表情がなく真顔で、ヒトではなくヒトの形をした何か感バリバリでした。
 今回は髭膝がいないので、この時点で誰??誰を見たら??みたいになってて誰かの定点カメラになることも出来ず、ありがたいことに初見が前方席だったこともあってオペラグラスなしで全体を割と満遍なく見たのが逆に混沌とした雰囲気に身を浸せて良かったような気がします。
 でも、やっぱりあの白い装束に平均女性の身長くらいあるのでは??な黒髪が映えることもあって兼さんを割と気にしながら見てたんですけど、いやもう美形達の真顔は凄いですね…(さっそく語彙が溶け落ちている)

 

【神遊び】


 いかばかり 善き業してか…と、件の昼目のあの鶴丸の歌い出し……。
 その前の第一声の長台詞も素晴らしかったですね…。松明、結構持ちにくそうな太さしてたけどそう見えるだけで実は固定できてるとかそんな感じなのかな。
 歌合後にボイトレとか今まで受けたことがないと岡宮くんがニコ生チャンネルで語っておられたのですけど、嘘やろ???!!!と思わずにはいられないこの朗々とした声の響きよ…。

 世の中には凄いギフトをお持ちの方がやはりいるもんだ。
 葵咲本紀の時にも思ったんですけど、ほぼ新人さんとは思えないあの発声、台詞の聞き取りやすさ…しかも単純に声が良い。発声の響きの良さが声の良さを増幅させている感じ。
 あの普段のツイートのお写真を見ると、本当にまだあどけなくてまだ赤ちゃんなのでは?と思ってしまうようなお顔をしているのに、舞台に立ってるのは紛れもなく鶴丸…。既に神降ろしされてますね???
 
 因みに忌火は字面だけ見ると不吉な…?って感じがしますが神道でいうところの「清浄な火」のことです。斎火とも書きますが、こちらの漢字だと意味との違和感がないかも。

 火鑽り(ひきり) 火熾し(ひおこし) 忌火絶やすことなかれ、と歌詞にあるように木と木の摩擦で発火させます。斎火とも表記する。
 神遊びは神前で歌舞を奏すること。

 明石に越えてはならぬ一線、の歌詞を当ててあるのホント不穏で良いですね…。
 あとあの、刀剣男士達、恋煩うって概念あるんです????あるの?????あるんですね???(食いつき過ぎ)
 あと、炙り出される本性、のとこの人外感溢れる青江の表情もとても好き…。
 能面の神霊系の若い男神に使われる神体(神容)という面があるんですけど、目に金色の金属を使って金眼なのですよ。(顕現時の桑名江、松井江が着けていた面は恐らくこれ)
 青江のこの時の目が照明の加減と相俟ってまさに神の金眼が如くの様相で!凄かった……。

 今からこういう感じで歌合するから!という掴みバッチリのOPでした。

 

【懐かしき音】
(天地の 神を祈りて 我が恋ふる 君い必ずや 逢はざらめやも/万葉集)

 


 脚本担当の浅井さん、縁側で囲碁をする石切丸を見たいと思って下さってありがとうございますありがとうございます!
 戦の絡まないミュ本丸の日常を見たいという夢がいきなり叶ってしまったな?!その1。
 (その2は長髪組の湯上がり風景)

 御手杵くんがその音……って引っ掛かったのは多分きっと自分が焼けた時の火の爆ぜる音だよね…つら…。

 囲碁組見たいし酒盛り見たいしお百度見たいしで目が全然足りなかったのでライブだけじゃなく本編にもフィーチャリング映像下さい…(切実)

 『お百度祷歌』のお地蔵さんに気付いてからの幾度 幾度願えば…何度 何度祈れば…のとこの手の振りが好きです。
 今回青江さんの『菊花輪舞』とかこういう手の振りが多い気がする。イネイミ…の誦文の振りも。覚えるの大変そうだけどカッコいいよね。

 

 この話に対応しているのは、

 

・鍛刀:炉(火)…パチパチと燃える木炭の爆ぜる音
・六根(五感+意識):聴覚

 かな?


【根兵糖合戦】
(世の中は 夢かうつつか うつつとも 夢とも知らず ありてなければ/古今和歌集)

 こんぺいとうがこんぺいとうでこんぺいとう過ぎてもう腹筋が疲労こんぺいとう…笑
 千秋楽後の夜中にTwitterトレンド1位を取ってしまった衝撃のこんぺいとう。

 

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 こんな歌唱力の贅沢な使い方もないな???!ってめっちゃ笑いましたwwww
 歌タイトルにもなってるConfeitoは金平糖の語源になった砂糖菓子という意味のポルトガル語ですね…。
 この身体お前とここで…と蜻蛉さん堀川くんが歌ってるとこで少し腰を屈めて片手で自分の太腿を撫で下ろす青江さんの振りがめっちゃ好きです…1950年代のアメリカンセクシーって感じ……マリリン青江か。
 蜻蛉さん…つか、spiさんの驚異的肺活量に圧倒されました。

 

・鍛刀:玉鋼(根兵糖の形との類似)
・六根:味覚

 

【ライブパート】

『Mistake』
 葵咲組の加わった『Mistake』〜〜〜〜!!!
 イントロ聴いた瞬間テンション爆上がりするしホント名曲ですよね…。
 しかも出だしが明石とか約束されしエロス…。
 基本明石は誰かと接してない時、ライブパートやお芝居パートで歌ってる時には目が全然笑ってなくて(口元が薄っすら笑うことはあるけど)彼の心の闇深さが滲み出てて良いですね。
 犯したいMistakeでモニターに抜かれる兼さんの顔が男前過ぎてギャワーッなってました。頑張れ私の語彙力。
 
『Impluse』
 まさか村正不在の今回にやるとは思ってなかったよね?!!しかも村正パートが鶴丸?!!!!ってホント驚きました…こ、こんなとこでも驚きをくれる鶴丸恐ろしい……。
 この曲で失敗したら太田さんに顔向けができない、と語るほど相当なプレッシャーが岡宮くんにはあったと思うんですけど、村正派とはまた違った『Impulse』になってて良かったなって…あとあのやたら接触したり距離が近かった振りは村正派専用だったんだなって…笑

 

『Stay with me』
 ミュ本丸の巴さんと石切丸は仲が良いな〜とか、青江さん不在の状況で椅子と言えば巴さんよね…と最初は割と余裕の顔でペンラ振ってたんですけど、蜂須賀姫が……蜂須賀姫が…(頭抱え)
 一度目の 見てよ この瞳、でギャワーッとなり石切丸と小狐丸にエスコートされる姿にヒェエッとなり二度目の千秋楽ではあっかんべーしてたところでアワワッとなり……はっち…世界で一番おひめさまだよ……姫で王子だよ……と茫然としてたらダメ押しのように巴さんと石切丸さんがやたらエロいおでこごっつんを披露してトドメを刺されましたよね…。初見の愛知公演より距離近くなってた。
 あとダンサーさんに絡む今剣ちゃんがセクシーだったのに安定とおでこごっつんしたところではただただ可愛いだけになってたの、ホント使い分けが天才的やな…と。
 あっかんべーのとこは目の横でギャルピース☆した指をピコピコさせたりいくつかパターンがあったので円盤に全部収録して?!!!ってなりましたよね…。

 

【にっかり青江 篝火講談〜夏虫の戯れ〜】
(夏虫の 身をいたづらに なすことも ひとつ想いに よりてなりけり/古今和歌集)

 

 交りは軽薄の人と結ぶことなかれ。
 上田秋成の『雨月物語』の中の一編、『菊花の約』を講談スタイルで語る青江。
 ライブパートの余韻を一瞬で吹き飛ばす声の深さ。
 人魂について「欲望が単純で(バシッ)幼く(バシッ)愚かで(バシッ)」と張り扇と共に畳み掛けていくところからどんどんと引き込まれ、緩急ある左門と宗右衛門と語り手の青江との演じ分けに息を呑み、『菊花輪舞』の歌と振りの美しさに見惚れて夢心地になっていたところを「お名残惜しゅうはございますが」とパッと明るく切り替えた声で目を覚まさせられる、という没入感が本当に凄くて…。
 私が観た範囲の中でも回毎に少しずつ演じ方が違っていたんですけど、どれも良くてでも円盤には一つしか入らないんだよな〜〜〜と舞台は生モノ、一期一会の非情をひしひしと感じました。
 あと歌…!
 今まで荒木さんはすっごく歌が上手いわけではないけど組む相手にいかようにも合わせられる器用な方、それこそ脇差のような歌を歌う方だな、と思ってたんですけども、『菊花輪舞』はもう発声からして今までと違くない?!とびっくりして…しかも座ったまま……。
 ステージがくるくる回る上で歌う姿は精巧に作られた和製オルゴールでした…。いや、あんな情念籠もった歌の流れるオルゴールがあるか。
 青江担の人達はあれ、無事だったんですか???

 そして深読みすればするほど青江さん?大丈夫??と思う この身に触るものの毒をゆっくり…、の台詞。
 かみおろし〜新刀剣男士が顕現するまで表情も動きも硬い、というのと関係している部分もあるのかも…。

 

・鍛刀:鍛錬(張り扇で釈台を叩く)
・六根:触覚(交る、触れる等)

 

【梅 the Way】
(梅の花 折りてかざせる 諸人は 今日の間は 楽しくあるべし/万葉集)

 

 元ネタがある青江の講談に対する、元ネタのない明石の噺。
 誠実に約束を守ろうと命を落とした話に対する、不誠実に不誠実を重ねていく噺。
 暇を持て余した明石の作り話の体を取っているが、歴史改変の話でもある。

 明石が今回の歌合において会話しているのは、小狐丸(伝説を仮託されている刀は多々あるが実在はしない)、今剣(実在しない)、巴形薙刀(物語もなく特定の刀でもなく作者を同じくしているわけでもない、形だけで分類された薙刀の集合体)、御手杵(ライブパートでのコーレス部分/焼失して本体が現存しない)。中でも御手杵に対しては自分から話し掛けている。………先の敗戦でGHQに接収され、ガソリン焼却後に海洋投棄されたという蛍丸を気にしているんでしょうね、やっぱり。
 存在ごとなかったことにしてしまえばいい、と明石が思うのは梅の木ではなく、蛍丸を失った歴史そのもの。
 明石が小狐丸の跡をつけたりしているのも、蛍丸顕現の可能性を探っているのかも知れない…と思うと、審神者は一刻も早く明石に蛍丸が顕現する可能性があることを伝えてあげて欲しい……。
 いや、我らはメタ的に蛍丸が実装されてるの知ってるけど本来は審神者にもどの刀が刀剣男士として顕現するのか知らないのかも知れないけど。まあでも、ゲームユーザーも次に実装される刀は判らないから、ミュ審神者もその状態なのかも。

 袖のない内番姿でも優雅に挨拶する今剣ちゃんとても良いし、折れた梅の枝抱える小狐丸さんは絵的にとても紅梅がお似合いでした…。劇中の本刃はそれどころではないだろうけどwww
 まあ、この二振は明石のイマジナリー今剣と小狐丸だと思うので…と思うと、見るからに正直そうな今剣ちゃんはともかく、明石さんは小狐丸をかなり優しくて善良と見てるんだな…( ˘ω˘ )
 
 そして正座しても太腿にあんなに隙間あるの凄いよ明石さん、と言うか仲田さん。凄いよ…変に膝開いてるわけでもなくちゃんと座ってるのに後ろの襖が隙間から見えるんだよ…(何処見てんねん)

 

 和歌有りパートだけど明石は歌わない。相槌である為か、明石は過去の歌人の歌ならばいざ知らず、己の心情をナマのまま歌うことにはまだ馴染めていない為か。

 葵咲で歌ってたのも御手杵と籠手切の不手際のことで自分の気持ちとかじゃなかったもんね…。

 

・鍛刀:相槌(講談に対する落語)
・六根:嗅覚(梅の花の匂いを嗅いでいる)

 

【ライブパート】

『Brand New Sky』
 幕末組+巴さん。今回フルメンバー揃ってるのってむすはじ組だけなんですよね…。
 兼さんの前世はタカアシガニだったんですか???という脚の長さに今回も釘付けになってたんですけど、巴さんが新体操のリボン持って踊り出したところでちょっとまじこれ持たせた人天才では?????!おひねり、おひねりを捻じ込ませて下さい!!!!ってなったのでホント…。
 あの身のこなしの優雅さにあのリボン……考えた人ホントありがとう…振付の本山さんかな?

 

『Nameless Fighter』
 お蔵入りしてもう聴くことはないかと思ってたので、イントロ流れた時には やるんだ?!!と嬉しくも複雑な気持ちになりました。
 複雑さは、牧島くんめっちゃプレッシャー感じるだろうな〜という部分で。
 再演しかまだ出てないから次の新作、本公演に出れて嬉しい、みたいなツイートをしてましたが、後継した初っ端が再演ってホント大変だったと思うんですけど、もう色々引っ包めてお前なら乗り越えられる、跳ね除けられる!って信頼を勝ち取った結果なんだろうな〜〜って、千秋楽終わった今ではこんな感じに振り返れるんですけど、現場で見てる時はただ伽羅ちゃんカッコいい〜〜〜、青江素敵〜〜〜で終始してましたwww
 
 牧島くんも岡宮くんと同じで、そのお顔でその声出るんです?!組だと思うんですけど、更に磨いていったら歌めちゃうま組に入れるんじゃないかな!と期待してます。

 

『約束の空』
 この曲好き〜。葵咲新入り4振+物吉くん、堀川くん。
 籠手切くんがホント楽しそうに歌い踊ってるのが可愛いな〜ウィンクもあざと可愛いし投げキッス前に真顔になるのも可愛い…。
 あと 約束を、の歌詞で小指を見せたり絡める仕草する御手杵くんも可愛い…。でっかい子が可愛い仕草するの良いですよね。

 

【大きなカブ…もといさつま芋】(和歌なし)

 

 回替わりアドリブ全部円盤に入れて欲しい…笑
 さつま芋が微妙に馬の形っぽいのはあれじゃろうか…兄者の大根に対抗してるんだろうか…。

 

・鍛刀:土置(刃文を入れる)
・供物:芋
(※和歌がない部分は対応する六根はない)

 

【徳川家/鯛】(和歌なし)

 

 これも回替わりアドリブ全部円盤に入れて欲しいwww
 吹き矢を信康さまに教えたの絶対村正でしょ…笑
 鯛を発見した時の家康さま、完全にポプテピのあのポーズやん???と思ったのをここで白状しておきます。
 あと秀康さまに おかえり、が言えたのがとても嬉しかったですね。
 貞愛は何かもう、口悪いのに信康お兄ちゃんには素直で可愛いし対父上には逞しいし、ホントいいキャラですね…。あといい匂いした…(客降り)
 
・鍛刀:焼入れ(水で急冷する)
・供物:鯛

 

【美的風靡】
(ぬばたまの 我が黒髪に降りなづむ 天の露霜 取れば消につつ/万葉集)

 

 け、軽装〜〜〜〜〜!!!!!!
 兼さん出てきた瞬間に ふぁああってなってたら牛乳一気飲みが始まって、このお酒大好きなのに小学生男子を失わないミュ兼さんホント末っ子愛らしい…。これは胡麻油も塗る…。
 自分も願掛けに椿油使いたい、と素直に言い出せないところも小学生…思春期?思春期なの??
 しかしどの回も結構勢い良く飲んでるのに全然口周りに牛乳ついてないの凄いなって思いました。
 あとあと、小狐丸と一緒になったことあるかって訊かれて んーん?って返したのも可愛かった…。
 謎の多い三条さん、で済んじゃうんだ…笑
 
 愛知と大阪公演に行ったので、はっちは内番姿と軽装と二度美味しかったです。
 兼さんと青江に比べるとやや襟を抜き気味に着付けているのも良き…。

 

 にしても刀ミュのウィッグ、ホント凄いですよね。殺陣をしようが歌い踊ろうが全然崩れないのは前々から凄いと思ってましたが、髪乾かすのに兼さんがばっさばっさ髪の毛触って広げてってしてもそのままにならず綺麗にまた纏まる…。
 もうホント、一度仕上げてもそれを完成形とせずにどんどん改良してってくれるヘアメイクさんや捌ける度にお直ししてくれる各種進行スタッフさん達には頭が下がります…。
 舞台は色んな要素で成り立ってるけど、役者さんの容姿がいくら良くてもビジュアルは完成しなくて、カッコいい!美しい!神様だ!って我々が思えるのってウィッグやメイクの完成度の高さ、衣装のこだわりあってこそだと思うんですよ。
 どれだけ脚本や演出、曲が良くても姿が残念だとそっちが気になって没入感が薄れるので…。

 話が逸れた。いやでもプロの仕事ホント凄い。
 そしてプロと言えば、堀川くんのギター…。
 こう、兄者や巴さんのバレエや膝丸のヒップホップダンスとか、役者さん本人が持ってるスキルを存分に使いますよね…笑
 今回のギターは阪本くん曰く事務所の偉い人からの要望だったらしいですが、赤いジャージにフォークギター、兼さんのドヤ顔が渾然一体となって思わずフフッとなってしまったんですけどwwww

 ミュ本丸の堀川くん、兼さんの髪は乾かさないけどいい雰囲気のところにギターを弾いてくれるし兼さんと一緒に寝てる。(愛知公演前説)
 土方組が同室で寝てるならこれは髭膝も一緒に寝てるな!笑

 

・鍛刀:刀身に油を塗る
・六根:意識(心)(仲間の無事を願う気持ち)

 

【ライブパート】

『描いていた未来へ』

 会場で観てる時はキャッキャしながら観てたんですけど、歌い終わって次の為に着替えて…って長曽祢さんめっちゃ忙しいですね?!って配信見てて気付きました。

 

【小狐幻影抄】
(ふたつなき 物と思ひしを 水底に 山の端ならで 出づる月影/古今和歌集)

 

 パリ公演でのあのアクシデントをこんな形に昇華させて来るとは全く思ってませんでしたね…。
 二つに分かれた小狐丸が一つにまた収束…と見せ掛けて最後にもうひと捻り明石を化かす構成も好き…。初見時はいつ入れ替わったのか判らなくて明石と一緒に ええ?!と驚いたり。

 白狐の半面姿の四振も可愛かったし振りも最高だったよコンッなんですけど、

 

・贋作の長曽祢虎徹→偽も真も
・炎に焼かれる夢を見る御手杵→夢も現も
・鬼の副長、しかし箱館に渡った辺りでは母のように隊員らに優しくなっていたと言われる土方歳三の持ち刀の堀川国広→般若も菩薩も
・かつての持ち主と共に墓に埋められたが掘り起こされた鶴丸国永→死者も生者も

 

 …って歌詞の振り分けが鬼ですね!(褒めてます)
 鶴丸は 人の欲望か神の気まぐれか、も担当してますけど、人の欲望で掘り返されたんだもんな…って…。

 北園くんは『あどうつ聲』であの個性的な歌声を能楽風に用いることで彼の演じる小狐丸としての色を更に豊かにしたと思うんですけど、今回の『狐や踊れ』と『ふたつの影』で表現の幅が更に広がったなぁと感じました。
 彼の個性的な持ち味の響きはそのままに、優しさや緩急の操り方が磨かれたな〜みたいな。
 
 『狐や踊れ』の歌詞にあった、翁、神、武者、亡霊、乙女、狂女、鬼、獣は能の題材。

 さてさてこれが真打ちか、で"最後に登場する物または人/最高の実力を持った物または人"と"刀における真打(同じ刀を同時に作って優れた方を真打ち、もう一方を影打ちとする)"のダブルミーニング

 

・鍛刀:真打ちと影打ち
・六根:視覚(食い違う目撃談)

 

【ライブパート】

『響きあって』

 シャッフルユニットってホント夢があるよね…。

 

『百万回のありがとう』
『勝ちに行くぜベイベー』

 客降り曲はもう、記憶がない…笑
 明石と兼さんがすれ違いざまに手をタッチするのを目の前で見たり、その兼さんの脚の長さの尻の小ささに慄いたり、サボろうとする明石をダンサーさんが必死に励ましてたり、伽羅ちゃんに黄色い声を上げたり、堀川くんの顔の小ささに我が目を疑ったり、柵に足掛けてスタンドを煽りに煽るはっちのお転売姫っぷりが可愛かったり他にも色々…。
 巴さん、明石、さだちはいい匂いしました。明石は香水じゃなくフェロモンらしいですけど…笑

 

『獣』

RTだったかな?で源氏兄弟がいないと最初のイントロのシルエットポーズが常識の範囲内だ…って言われててちょっと笑いましたww
 この曲もすっかり定番になりましたよね〜。好き。
 みんな脱いで露出度最高潮な中で更に自分で服を捲って腰の梵字見せつける籠手切くん強い…アピールポイントをよく判ってる…。
 センステも見たいしサブステの伊達組も見たいしで目が足りないし、毎回他を見ていて歓声起こる度に私何かを見逃したな?!!ってなってた石切丸の口で手袋脱ぐやつはライブ配信でやっとこ目にしました…笑
 脱いだあとすぐに口から離さずにしばらく咥えたままニヤッと笑うの反則だと思います…御神刀なのに観客を殺しに掛からないで!!(いいぞもっとやれという顔)
 ホントどの曲も目が足りない…フィーチャリング映像頼みます……。

 

【黒き影、寇す】


 寇す、の読みは あだす。
 外から攻め込む、という意味。

 今回、サブステはセンステより常世に近い場所として位置付けられてるのかな?と感じました。

 

・幽霊を斬った逸話があり、死んで約束を果たす話を語る青江。(菊の花は魔除けの効果があると信じられていた。重陽節句では邪気を払い長寿を願う意味で菊を飾ったり菊花酒を飲む。)
・長髪の三振。古来長い髪には神や霊力が宿るとされていた。椿も神聖な植物で魔除けの効果があるとされている。(ここでは油だけど…)
・徳川家…現代では既にいない、過去に生きた人達。死者。鯛もまたおめでたいとされる魚。(禍々しさもなく死んでる風でもないのは信康と貞愛が物部で、かつて物部として動いた過去の一場面だからかな)

 

 それぞれの話に魔除けやおめでたいものが含まれているのは悪いものを牽制する意味があったのかな、とここで現れた歴史遡行軍を見て思ったんですね。
 サブステから現れた遡行軍は八振。
 語られた物語も八つ。刀剣男士をかたち作る八つの要素。人の肉体を得ることで生じる八つの苦しみ。

 現れた遡行軍が退けられたのは、刀剣男士達が今まで語った話と魔除けの効果によるものかな、と。あと、昼目の神=天照大神にもしばらく留まって貰ってますしね…。

 

【かみおろし】

 

 歌を捧げ言葉を捧げ、攻め込んできた歴史遡行軍も退けられた。神降ろしの儀式のクライマックス。
 少し前、脱いで光る棒振り回してたとは思えない神様達〜〜〜〜(ひれ伏し)

 交わされた歌 物語 神降ろし…、のメロディーは『神遊び』の歌い出しの いかばかり 善き業してか…、と同じもの。
 この本丸で皆がそれぞれ過ごした時間、思い出、それによって生じた感情、歌を新しい刀剣男士を喚ぶ依り代にするって凄い話ですよね…。
 言葉と歌は、この本丸においてただの意思疎通の手段や娯楽ではなく、神聖なものである。
 何で刀剣男士が歌い踊るんだよ!!という誰もが一度は考えたであろうこと、ミュージカルであることの意味へのアンサーでもある気がしました。

 

【君待ちの唄】

 人の身体が作られていく過程を歌う裏で、歌合の判者と講師を勤めた鶴丸国永、今剣、堀川国広の三振が刀が作られる過程を歌っている…。

 

①心臓 (玉鋼 水減し 小割り)
②血液 (積み沸かし 折り返し 鍛錬)
③目 (造り込み)
④手足 (素延べ)
⑤耳 (火造り 鋒 鎬 茎)
⑥口 (生研ぎ 土置 焼入れ)
⑦呼吸 (鍛治研ぎ)
→産声を上げるだろう

 

 八つ目は…宿れ、と歌っている"いのち"であり"歴史=それぞれの刀の持つ来歴、逸話、物語"かな?
 "かたち"、"からだ"と表されるものが七つの過程を経て産声を上げたもの、しかし器が出来ただけでは刀剣男士にはなり得ない。
 刀剣にとっての命、歴史が、人の身を得た時に心や性格になる的な…。

 それはさておき、七つ で 肺に空気を吸い込めば、と歌う兼さんメイクの加減もあって作画がめっちゃ神様ですね…。
 目尻側が古代エジプトの壁画みたいなアイメイクの強さと白い衣装の反射でか、これまでのお芝居、ライブパートに比べて人ならぬモノっぽさがある気がする。表情がほぼないからというのもあるかも。お人形。
 
 宿れ祈れの部分の歌詞分けがまた歌っている刀剣男士それぞれに対応してて、

 

・籠手切: 生命(持ち主の稲葉正勝が死の直前に細川忠利に贈ったから?)
御手杵: (焼けてなくなった)かたち
陸奥守: 歴史(維新の際、歴史に大きく関わった坂本龍馬)
・安定: 身体(結核によって病死した沖田総司から?)
・物吉: (徳川家に勝利を運ぶという)契り
・明石: みそぎ ※
・蜂須賀: 宿命(贋作が多いことに悩む宿命?または、維新後も華族の中では有数の富豪であったにも関わらず戦前には没落し爵位を返上することになった蜂須賀家の有り様?)
・長曽祢: 役目(武士の出身でないにも関わらず最後まで幕府を守ろうとした近藤勇)

 

 ※明石の「みそぎ」はパッと思いつくのは「禊」なんですが、物吉の「契り」が動詞ではなく約束を示す名詞として使われているなら、禊だけいきなり行為になるな??とちょっと違和感を感じました。
 明石と禊もあまり結び付かない…ので、蛍丸を失っている苦しみ→その「身削ぎ」?と次に考えたんですけど、いきなり慣用句が来るのもまた違和感がある。あと、明石はほぼ製作当時の姿で現存していることで国宝指定されている面もあるので、研ぎ減ったりもしてない…ので物理的には身を削いでない…。
 で、もう一度考え直してみて、明石国行の刀身の彫物は不動明王の持つ剣=煩悩を祓う→禊??
 ということで、一周回ってやっぱり禊かな〜って落ち着いたんですけど、この微かな違和感を寄越すところ、何処か不穏な明石にぴったりですね!!!!!!

 

 こちらへ さあさあ、と呼ばう陸奥守と御手杵の共通項は焼け身になったこと=炎に縁がある→刀剣作成に欠かせない炎に縁がある→顕現前の刀に他より少し近い、というポジションだからかなー。
 単にああいう発声が映える2人だからかもですが…笑

 

 縁と言えば、判者と講師の三振。


鶴丸: 墓に埋められたことがある→ "死"への縁(生まれ来る前のモノへの縁)
・今剣: 実在しない→ 存在が他よりあやふやで現世への縁が薄い
堀川国広: 現存しない→ 土方歳三が持っていた脇差堀川国広だった、という言い伝えのみが現世への縁

 

 小狐丸は物語が仮託された刀がたくさんあり、代表されるものが石切剣箭神社のもの…火熾しの役目を持つ石切丸を巴形(物語がそもそもないが典礼に使用される)と共にサポートしてるのかな…と妄想を膨らまし。

 最後の 今こそ呱々の声(産声)を上げたまえ、の鶴丸の声も良き声ですね…。ロングトーン飛ばしながら後ろ向いて屈んで、てしてるのに音がブレない…腹筋がお強い…。

 

【八つの炎 八つの苦悩】

 ここに至るまで、神降ろしだ〜〜〜と思ってたのに実際に新しく刀剣男士が顕現するって深く考えてなかったんですよね…。
 神体の面を着けた「誰か」が出て来た時、本当に息を呑みました…。
 しかも私、初見が愛知1日目=松井くん初登場の回だったので、そこだけ観客の反応が他と明らかに違ってて、そんな今までは桑名くんが…とか全く知らなかったので暢気に今まではもしかして顕現はしたものの誰かは判らない仕様だったのかな〜とか思ってたんですけど、後からその時同行してた広島にも行ってた友達から広島では桑名くんだった、どうやら埼玉までは桑名くんだったらしい、という情報を聞いてそりゃあの反応、どよめきになる筈だわ…と納得しました。(そして①の鏡開き説を考えたりし始めた)

 面はあれ、双騎の冒頭と同じで咥え面だと思うのですが、録音ということを加味しても歌が、上手い…。あれ、桑名くんの時は桑名くんの歌声だったんです??(福井くんも笹森くんも初めましてなので歌声が判らない)

 

※1/30追記…桑名くん観た方から、歌声は桑名くんの時と違ってたよ〜と教えて貰いました!

 それにしても松井江、歌が上手い……え、めっちゃ上手いですね???
 春の新作が更に楽しみになりました!

 

 八つの苦悩は、四苦八苦の言葉で有名な八苦の概念。

 

・生苦
・老苦
・病苦
・死苦(ここまでが四苦)
愛別離苦…愛する者と別離する苦しみ
・怨憎会苦…怨み憎む者と会う苦しみ
・求不得苦…求めるものが得られない苦しみ
五蘊盛苦…五蘊(人の肉体と精神)が思うままにならない苦しみ

 (ここまでの全て合わせて八苦)

 

 そしてその中でも五蘊盛苦(ごうんじょうく)について歌詞の中で言及しているわけですが、五蘊とは

 

・色(しき)…人の肉体。変化して壊れていくもの。般若心経の色即是空のフレーズにある色はこれ
・受(しゅ)…六根(五感+心)を通じて感受する知覚
・想…心の中で像を思い浮かべることや、心に浮かんだ像のこと。物事のイメージを思い浮かべること
・行(ぎょう)…イメージしたものに対して意思判断を下すこと
・識(しき)…対象を分析して認識すること

 

 ざっくり過ぎる。仏教用語ですね。

 ただ生きているだけで苦しみがたくさんある、ということでしょうか。
 呼ばれて出て来ていきなり難しいことを言いおる。
 用語として難しいのもあるけど、ヒアリングしてすぐに ごうんじょうく…おう、五蘊盛苦な!って結び付く??!みたいな……私は初見では無理だったよ…つか頭パーンしてそれどころではなかった…笑

 難しい単語使うな、ではなくて、ネタバレ禁止と同じで刀ミュはここでも観客を信じているのだな、と言えばいいのかな?そこに対する期待の大きさを感じました。


 和歌もですけど、このスマホ時代、全文は覚えてなくても断片的な記憶を頼りに検索することが容易で、能動的に楽しもうとする行為が昔に比べたらもの凄く簡単になったと思うんですよ。
 まあ、ネット検索で出て来る情報は玉石混交なので、調べた上で原本に当たるのが一番なんですけど…と言うか、刀ミュで古典なり歴史なり文化なりを調べて興味を持って、その道に進むことも有り得るんですよね。
 原作ゲームをきっかけに自分の道を決めた人達が何人もいて、ミュはそこに古典芸能も最近ではぶっ込んで来ていて、まあ、思い返せば初期から既に気配はあったんですけど、運営側は今の観客なら双騎の曽我物語にしても今回の歌合にしても、付いて来れる、大丈夫!と思って作ったんだな〜って。
 勿論、そんな難しいこと考えたり調べたりしなくても充分筋は判るし、楽しめる。それぞれが思い思いに楽しめば良い、楽しめる作りになってる、というのが大前提としての話ですけども。

 

 閑話休題
 こんな苦しみが生じるのに何故呼び起こした、と問う新入りさんに 共に戦うため 使命果たすため
どうか力を貸したまえ、って返すのとても身勝手だけど、この世に生まれるものは遍くその身勝手によって産み落とされているのですよね。
 力を貸したまえ、って歌ってる側も己の意思とは関係なく生じているし、観ている我々もそう。

 ここで本当に恭しく腰を折って乞うている蜂須賀、まじで天女。めっちゃ巫女。刀剣に性別など飾りよ…。

 若い男神の面(神体)を外し、神から人の身を得て顕現…。ぶわっと花びらが舞い上がるのがゲームでの顕現演出と当然ながら同じでもう滅茶苦茶テンション上がりましたよね。

 

【あなめでたや】

 

 あまりに覚えやすい歌詞とメロディーで、もう最近事あるごとに脳内で刀剣男士達が歌い出すんですけどwwww

 きょとん顔というか生まれたての赤ちゃん顔を取り囲んで、めでたやめでたや歌うの、ホント出産現場!!って感じ…。
 何でこんな苦しみを……とさっきまで歌ってた子ですよ、と思うと若干ホラーですが…:;(∩´﹏`∩);:
 鶴丸が皆に紹介していたり今剣ちゃんが振り付けを教えてるみたいなのは微笑ましいし、中でも同じ江派が来た籠手切くんは本当に全身でめでたや!!!!!って感じで可愛いですよね。
 明石は何を思っているのか…蛍丸が来るとももはや思ってもないのか感情が読めない。
 蜻蛉さんはあんなええ声で 天晴れ 寿 松竹梅〜〜♪ って歌われると御利益凄いありそう…笑


 ぷーくぷくぷーく♪歌ってる兼さんは可愛い。

 ここまで書いて気付いたんですけど、私さてはかなり有澤くんの兼さん好きだな????

 

 兼さんと言えば最後に階段上がるとこ、浄衣着てるのに裾をガバッと上げて大股で昇るお陰で脚がかなりさらけ出されて、突然また現れる小学生男子……神様モードとの振れ幅がデカ過ぎるwwww

 明石はあれかな〜巴さん、小狐丸辺りががっしり掴んで向こう側には行かせない展開ありますか……
 葵咲では判らなかったけど、色んな男士達が明石のことをちゃんと構って輪に入れてるので本当にこの本丸の子達は善性の塊だな〜と思います。
 明石はあれはきっと三条大橋のボスドロ産だわ…。多分めでたやされてないわ…。

 

 しかし歌合、これは何度もできないよね…。
 オムニバス形式で本丸の日常が垣間見えたの楽しかったけど、仕掛け的には今回限りでも驚かない。
 ネタバレ禁止で何が起こるのか判らない状態だったからこそ、という部分が少なからずあったと思うので。

 今年の年末はまたらぶフェスに戻るのか、また別の何かがあるのか、5周年ということでそれこそ一度限りの何かがあるのか…。
 その辺は予想もつきませんが、春の新作や大演練、双騎再演もありますし今年もたくさん楽しんでドキドキして、と刀ミュの世界を堪能しようと思います。のでチケットご用意されたい…(切実)

 ……取り敢えず、今ばーっと書けた感想と思いつきメモはこんな感じです。長ぇわ。

 

 ここまでお付き合い頂きありがとうございました。

歌合乱舞狂乱 感想①

 あまりにも長くなったので分けました。
 今回は冒頭の神事部分の辺り。
 自分的には考察にまでは至っていない情報整理やら気付きのメモみたいな感じです。考察もどき。

 

 

 さて、何を語ろうかな…さてさて何を…と思わず青江さんになってしまいそうなくらい要素盛り沢山だった歌合、本当に楽しかったです。
 元々歴オタ気味で古典も好きだったので何かもう好物が今回も大波で押し寄せて来たぜ状態で!笑
 とは言っても大学で民俗学やら古事記やら講義受けたな〜とか昔本読んだな〜程度なので記憶があやふやだったりなのですが。

 まあ、個人の感想ですし、凄い考察とかでもなく思いつきをつらつら記録として残しとこうかなという感じのやつです。

 まずは今回の歌合、今回の神事についての所感を。
 考察と言えないのはあれです。あやふや記憶が殆どで、出典とかが提示出来ないからです。
さも当然のように書いてても記憶違いとか認識違いがあるかも知れないので!笑

 神事に興味ない、普通の感想だけ読ませろ〜って方は今回そこまで辿り着かなかったのでこの記事はパスして下さい。


 さて。

 

 イワサク
 ネサク
 イワツツノオ
 ミカハヤヒ
 ヒハヤヒ
 タケミカツチ
 クラオカミ
 クラミツハ

 

 公演前に何の説明もなく上げられた えおえおあ極動画での謎の誦文は、産まれた瞬間にその炎で母のイザナミを死に至らしめてしまったことに怒った父のイザナギによってカグツチ(火の神)が十束剣で八つ裂きにされて殺された際に岩に飛び散った血から生じた八柱の神の名をこの記事で言うと縦読みしたものでした。
 動画出た日は気になるけど今から仕事じゃよ〜〜ってタイミングだったので暗号はまた後で…ってなってたんですが、即座に気付かれた方が何人もいてツイッター集合知っぷりが凄いな、となった思い出。

 因みに八つ裂きにされた死体の八つそれぞれのパーツからも八柱の神が生じますが、そちらについては刀剣男士達は歌いません。
 何故血液側なのか。

 

イワサク、ネサク、イワツツノオ…岩、石、土にまつわる神
ミカハヤヒ、ヒハヤヒ、タケミカツチ…火にまつわる神
 (タケミカツチは雷神ですが、雷は火を生じさせる為、火の括り。また、各神の性質によるこの3:3:2の分類は血液が剣のどの部分から滴ったものか、での分類と重複している。)
クラオカミクラミツハ…水にまつわる神

 

 と、このように血液側の八柱は鍛刀に欠かせない要素にまつわる神々なのですね。

 そして更に日本書紀においてはイワツツノオが剣の神、戦の神であるフツヌシの祖である、と示されているのも理由かな、と思います。
 あと、八柱の中のタケミカツチ=建御雷神は彼単体で雷神であり軍神であり剣の神でもある。

 

 八つ裂きにされた時の血液側の八柱の名前しか出て来なかったけど死体側がもしかして時間遡行軍なのかな…表裏一体なとこあるしサブステから出て来たの八人だったし「こちらへこちらへ」と呼ばってたのも「あちら」では刀剣男士として顕現できないとか…?

 

 まあ、千秋楽配信見ながらこんなことも考えてはいたのですが。

 でも死体側の神ってみんな○○ヤマツミで、みな山にまつわる神なのですね。
 同じ剣によって生じた神でも、血液側とはちょっと性質が異なるのかな…と。

 

 次に、冒頭に鶴丸が口上を述べた後の『神遊び』の歌い出しの歌詞「いかばかり 善き業してか 天照るや 昼目の神を 暫し留めん」は神事の際に歌われる神楽歌の「昼目」の本歌そのものということを他の方の感想ツイで知りまして。
 調べてみたら、昼目は秘曲で大嘗祭でしか使われないとのこと。
 大嘗祭と言えば天皇陛下が即位した年に執り行なわれるもので、この公演が始まる10日前の令和元年11月14日に行われました。


 通常なら毎年11月23日に新嘗祭が行われますが、大嘗祭を行う年には新嘗祭は行われず、大嘗祭天皇の代替わりが条件なのでそうそう行われない。
 そのタイミングで昼目を歌詞に取り込むのはもう狙ってますよね?!と言わざるを得ず…:(>^o^)>:
 大嘗祭新嘗祭も平たく言えば収穫に感謝する秋祭りです。昼目の神はイコール太陽神である天照大神

 

 カグツチの血から生まれた八柱に天照大神ってめっちゃスケールデカいですね????待って??

 現地で公演見た時は設置された刀は神降ろしの依代として、後ろの岩は何を表してるんだろう、神を降ろす依代としての磐座なら既に刀が用意してあるから、これは別の……そうか、カグツチの血が付いた岩から八柱は生じたからその岩を模してるのかな〜?とか、何ならカグツチの墓か?(三重県花窟神社カグツチの陵と言われてる巨岩があるので)とか考えてたんですけど、「昼目の神を暫し留めん」ってことは岩は天照大神の為の磐座とも取れる…??
 待たれよ…これめっちゃ神事ではないですか???

 

 歌合は11月24日の長野公演から始まりましたが、そう思うとこの日程も大嘗祭のちょうど10日後ですね、とか代替わりがなければ前日の23日が新嘗祭でしたね、とか何か色々勘繰ってしまえる日程で…(頭抱え)

 顕現する男士が最初はずっと桑名江で、1月11日の愛知公演から松井江に変わりました。
 公演のちょうど真ん中というわけでもなく、新年明けてすぐでもなく、何故????と考えたんですが、日付的に思い当たるのは鏡開きくらいで。

 

 ここから連想して公演開始日にも意味があったのでは?→大嘗祭(新嘗祭)付近だ??→鶴丸が昼目を歌ってる…!やっぱり日程に意味がある??と首を捻った結果、秋の収穫祭〜マレビト(客人)である歳神(=農耕神であるとも言われている)を迎える正月松の内までは畑仕事が好きで農業に縁のある桑名江が顕現して、鏡開きの1月11日以降は血を流し流されと嘯く(=俗世に近い)松井江が顕現するのかな??などと考えたりしてました。
 歌合が終わるのも1月23日でほぼまる2ヶ月間なので、日付にも意味があったのかな〜とか。

 他にも豊前江発表のタイミングと併せて玉集めの数に対応してる説とかもあるようで、そちらも説明見るとなるほどな〜と思えるので、まあこんな考え方をする奴もいるよ、程度の与太話に取って下さい。

 

 そして鶴丸の口上。
 これは古今和歌集の仮名序で言ってることをアレンジしたもので、終わりの神降ろしの時には「やまとうたは ひとのこころを たねとして〜」と仮名序そのものの言葉を語ります。
 この文言は今回のキービジュアルの背景にも書いてありますね。

 男士達それぞれの浄衣の前裾と袖括りの緒の色は歌合の左方(赤の装束を着る)と右方(青の装束を着る)に対応しています。鶴丸は判者なので赤でも青でもない白色を着用。

 刀剣男士達が左右に分かれて歌合をし、その歌を火に焚べて神を降ろす神事を執り行なう…。だからスケールどうなってんの????!という…何だこれ我ら何見せられてんの???
 つか、前もって例の誦文動画が提示されたり前説でも練習させられたり、さては観客であるこちらにも審神者として神降ろしの片棒担がせる気満々だな???

 刀剣男士達が顕現し、色々なことを経験して湧き上がった情動を歌に託し、言葉を依代としてマレビトを、新たな仲間となる刀剣男士を招く。
しかし彼らを励起しこの世に人の姿で顕現する為には審神者の力が必要。
 観客はミュ本丸を観ながら、ミュ審神者の声を聞きながら、自分達もこうして男士達を励起しているのだ、という擬似体験のようなものを得る。
(いやうちの本丸はこんなのナイナイって人も多数いると思いますが、構造的にそうかな?という話で)

 

 ミュージカルって好きな人は好きですが、何でいきなり歌い出すの?!喋ってた途中でしょ?!!いや実際問題歌は情景や心情描写の手法であって現実世界で歌い出してるわけではないとは判ってるけど!やっぱり突然歌い出すのが受け付けない!!って感じで敬遠する人も多いですよね。
 私も刀が歌うのはちょっと…??と最初は思ってましたし。

 で、まあミュージカル刀剣乱舞はまあ、ミュージカルだから歌うんだよ。と思ってたんですけど、歌合においてこの本丸の刀剣男士たちにとって歌がどういうものなのか、言葉とはどういうものなのかがスパーンと提示されてしまい…。

 古来、言葉は特別なもので、言霊などは今でもその概念が残ってると思いますが、神の名などは口にした音そのものにも力があると信じられていました。
 ミュ本丸の刀剣男士達は、その上代の信仰に近いというか、思考が神様視点にあるというか、人間の身体を得て心を得て、それによって苦しんでも決して人間ではない、というそのスタンスがより明確になったな、と私は感じました。

 

 そしてその歌合。
 歌と共に繰り広げられる六つの物語。歌がない二つの話。
 歌合は本来なら五人ずつが五つの歌で競い合う。つまり合計十首の歌になる筈ですが、ここでは神事なので変則的。
 そしてどうやら、物語は全て過去の話であり、神事の中でそれぞれの歌にはこういう出来事があったよね、という回想であるらしい。
 実際には冒頭の神事が粛々と進み、それぞれが自分達の経験や思考を託した歌を炎に焚べているだけなのだろう。

 

 で、これも気付いた方凄いな?!なんですけど、物語全体で鍛刀の過程を表して、歌の付されない二つの物語、芋と鯛は贄、お供え物でもあるのでは?と…。

 因みに私は六つの話で人間の体が形作られる過程、即ち六根(人間が持つ五感+意識)に対応しているのかな…?と考えて、それもあながち間違ってはないと思ってるんですけど、あと2つが判らない…芋と鯛、おめでたいのは判る…ともやもやしてたんですけど、贄か!贄なーー!!そら神事には要るよ、お供え物!と気持ち良く腑に落ちました。
 贄が最後でなく中にいるのは鍛刀の過程も兼ねているからだ、とするなら納得。

 何これめっちゃ神事。(何度目だよ)

 ここまで書きましたが、本編に全く至ってないのに文章が長い…:(>^o^)>:

 一旦ここで切ります。
 六根やら神事の終わりに関しては次の記事に。
 ディレイやらを見たらまた加筆訂正等するかも知れません。

髭切膝丸双騎出陣2019 感想

 今更感溢れてますが、備忘として書き殴っとこうと思います。
 レポや考察ではないので主観盛り盛り、恐らく勘違いも盛り盛りです。御了承下さい。



<1部>

 Twitterにも書き散らかしたんですが、まずはこの曽我兄弟の仇討ち時期と同じ年頃の2人でこの演目をありがとな!!!!って気持ちでいっぱい…。
 髭切・膝丸じゃないね???ってので初見はびっくりしたんですけどwww 
 え、その可愛いピンクの水干のあなた達は誰…三浦くんと高野くんの顔してる…え、三浦くん…??高野くん……???髭切と膝丸…??!おデコ…!!ってのが多分1秒くらいで脳裏を駆け巡ったんですけど、そんな驚きも吹っ飛ぶ美貌×2。
 しかも次の瞬間「あにうえ〜〜〜お待ちくだされ〜〜(めっちゃ甲高い)」で更に吹っ飛ばされたし!!笑 
 もう髭切・膝丸だろうがなかろうがこの美しさの前ではどっちでもいいわ…と開始数分でひれ伏してました。
 いやホント仮面捨てた後の2人のお顔まじ美し過ぎない???双方眼差しが強い……。
 三浦くんは仮面投げてるとこがめっちゃ上に立つ者ですって顔してるし、高野くんは凛々しく苦難に立ち向かいそうな顔してる…。語彙が来い。

 私、特に高野くんの顔立ちがとても好きな系統のお顔なんですけども、2.5やってくれてありがとうねぇ…と思うのがメイクバリバリの姿が見れるとこでしてね…。
 特にとうらぶは刀剣男士ということでどれだけ耽美になっても いやだって美しい刀だよ??人外だよ?? みたいなとこがあって2.5と相性抜群だと思うんですけど、元々美しい子を浮世離れした感じに盛ったらそら美しいに決まっとるわい、っていうのを今回再確認しました。
 だってどの場面のどの瞬間もひたすら美しく綺麗で、幼い頃は愛らしく、成長するに連れて凛々しさを増し…と絵面完璧じゃないですか???

 そして歌。
 らぶフェス2018の時もつはものやらぶフェス2017の時より上手くなったな??と思ってたんですけど、それぞれまた更に上手くなってる上に互いに相手の声に自分の声を程よく寄り添わせていて、何この奇跡の組み合わせ??!ってまたひれ伏してホントこの2人をキャスティングしてくれてありがとう!!!と、もう何度目になるか判らない感謝を今回も捧げました。

 ラジオで高野くんだったかな?双騎への意気込みを訊かれて、二人で一つになれたら強いのかな、みたいなことを言ってましたけど、まさにそれでしたね…。めっちゃ強かった。さすが二振一具。
 あと出典は忘れましたが、つはものの時に劇中で一番好きな曲は?という問いに高野くんが「散るは火の花」を挙げてて、理由として細部は正確じゃないですが全員でハーモニーを作っていくのが気持ち良かったから、的なことを言っていたのを今回の公演で思い出しました。
 この回答見た当時は判りやすくポップな2部曲や自分のメインの曲じゃないし渋いの選んだな〜と思ってたんですが、声を合わせて一つの曲を作り上げる快感という点では確かにこの曲が一番だったろうな…と今になって大きく頷けたり。

 で、今回の双騎。2人の声の良さはそのままに、でもお互いの声に添わせ……って言うかたまに今あなた達どちらのパート歌いました??みたいな寄せ方をしてる箇所もあり、お互いがお互いの良さを吸収して添わせるところは添わせ、違いを際立たせるところは際立たせ、みたいな感じになっていて、短い期間ながらもお互いをよく観察して声を合わせたんだな!って……。いやダンスや殺陣の振りもあるし台詞覚えるのもあるのによくぞ…。

 今まで2人だけの歌唱は「双つの軌跡〜となり〜」と「Just Time」しかありませんでしたが、今回は1部も2部も2人の為の楽曲ばかりで、しかも1部曲は幼な子から青年までの歌い方の多様性が味わえる…。え、今振り返ってもめっちゃ贅沢ですね???
 そして此処まで書いてまだ1部の内容に殆ど触れてないという…笑
 埒があかないので曲目リスト順に感想を述べてこうと思います。
 因みに私の曽我物語知識は双騎サブタイトル発表時点で概要は知ってる、歌舞伎の演目として人気なのも知ってる、あと箱根神社に薄緑丸があるのも知ってるよ、くらいのレベルでした。

・M0『瞽女のしらべ』
 加納幸和さんが参加されることが発表になった時、私は寡聞にして加納さんのことを存じ上げなかったんですが、加納さんを呼んだということは刀ミュは本気で時代劇をやろうとしてるんだと思う、というどなたかのツイートを拝見してなるほどなるほど?と思ってたんですが……ほんっとうに凄かったですよね。圧巻。
 千秋楽ライビュに一緒に行った友人が1部終了後にこの人には別料金要るのでは…??って話したくらい。
 瞽女と母と別当とをシームレスに行き来するその姿は素晴らしく、此の世ならざる者感もあり、舞台に奥行きを与えていたと思います。
 物が語るゆえ物語、というフレーズに説得力が出ました。
 あの雨音の中、明々暗々と謡いつつスロープを歩き降りて来るだけで今から尋常ならざるものが始まるぞ、という緊張感がありましたよね。

・M1『私が語るべきことⅠ』
 瞽女の背後に並ぶ封印された木偶人形のような2人。黒子のような、ミュージカル「エリザベートの」トートダンサーのような死の概念の擬人化のようなアンサンブルの皆さん。
 この絵面に撃ち抜かれない和モノ好きオタクいる??って感じでしたね…。
 ここの解釈は色々あると思うんですが、私の中で一番しっくりきたのはモノとしての髭切、膝丸の器に曽我十郎、五郎を降霊させた説ですかね。
 この時点で髭切、膝丸は意識はありつつ曽我兄弟に身体を貸している、みたいな。
 髭切と膝丸は刀であるゆえ当然両親はありません。そんな彼らが父母への親愛を表現しても上っ面を撫でた「演技」にしかならないのでは?というのと、盲目の女性の職業は瞽女の他にイタコに代表されるような口寄せ巫女が定番だったから、というのが理由です。

 瞽女であり口寄せ巫女である彼女が名を呼んだ瞬間に曽我兄弟が髭切と膝丸に降ろされたのかな、と。

 曽我兄弟はただの霊ではなく、今は神社に祀られてますしね。

 仮面のまま操り人形のように踊る姿はホント2人とも色々活躍してるけど基本はダンサーなんだな、と思いましたし、音楽と相俟ってどんどん高揚してく感じが凄く良い。
 そして外される仮面、露わになる前述の美しい2人の相貌、何これいきなりクライマックスだ?!

・M2『いちまんとはこおう』
 からの、「ついて来い筥王!」「はにうえ〜〜〜〜」で待ってその声何処から出て???!で目を丸くしてる間にも可愛い2人の手繋ぎ踊りが…え、可愛い……何これ可愛いんですけど?????!
 凄い、八頭身の合法ショタに慄くしかありませんでした。八頭身なのに2人とも幼な子に見える。
 初日観劇の方から筥王は最初はここまで高い声ではなかったと聞いて、その辺の変化も生きた舞台の醍醐味だなと思いました。
 対する一万はもうおデコに釘付けでした。

 だって三浦くんの秀でた眉丘からスッと鼻の付け根に掛けて窪むあの曲線、彫刻のような美しさじゃないですか…。

 ポンパにしよう!って思い立った人ありがとう…筥王のぱっつん前髪もありがとう。

 1時間の間に髪も衣装もあんなに変わると思ってませんでした。

・M3『遠き雁が音Ⅰ』
 2人ともあまりにお母さん思いの出来た息子達過ぎて、子供にあんなん言われたらお母さん幸せ過ぎて泣いちゃいますよ…。
 兄上のデコツンが意外に力強くてちょっとドキドキしました…笑
 まあ、その後兄の手を振り払う弟もやたら剛力でしたけど……(舞台だから動作が大きいだけですよ…)
 演技的には、可愛い子供の筥王は演じやすそうですが、子供だけど兄だから少ししっかりしてる一万は加減が難しそうな印象ですが、違和感なく演じてて良いな〜って思ってました。
 ずっとこんな仲良し家族でいて欲しかった…。

・M4『もういちど もう二度と』
 工藤祐経、絵に描いたような悪人キャラでいっそ清々しい感じになったな…と思いつつ。演じるの楽しそう。
 工藤祐経側にも事情はあったんですけど、曽我兄弟の主観が多分に混じってるのでこうなったんでしょう。現実的には尺とテンポの都合かな。

 過去の幸せをもう一度、と願う弟と起こってしまった現実の先を見据える兄の対比が痛々しい。

 涙声で歌う高野くんの変幻自在さが凄い。
 三浦くんは悲しみを押し殺した「この無念 晴らしてみせよう」のあの抑制的な声が好き。
 2人の後ろで念仏を唱えている加納さんの声がまた良いアクセントになってるんですよね…。
 筥王の「恋しい」と一万の「この無念晴らして〜」の歌声が似てて、互いの表に出てないもう一つの感情としてクロスしてるっぽく聴こえるのは演出なのかたまたまなのか判らないですけど、作曲のYOSHIZUMIさんも作詞の浅井さやかさんも双騎に限らずですけど神ですね。

・M5『遠き雁が音Ⅱ』
 母上の再婚に心理的に取り残された一万、筥王のもうお互いしかいない閉じていく感じ、とても大好物です。理解者がお互いにしかいない仲の良い兄弟最高…。

 泣いてたのに兄上に涙拭われるとすぐ笑顔になっちゃうんですよ筥王。
 あと、膝をついた弟の肩に立った兄が手を置く図、2部の『Kizuna』だったかな?でもやってて、1部2部は別物に見えてその実ちゃんと地続きなんですね。

・M6A『ひたむきな花~寄り添うべきは…』
・M6B『ひたむきな志~寄り添う心』
・M7『私が語るべきことⅡ』
 無念を晴らすべく剣の稽古に励む兄、花を摘む弟それぞれにつきまとう死の影って感じのアンサンブルの皆さん。この演出も凄く好きです。
 あの前髪の長くて無個性無感情な何にでもなれるアンサンブルのあの統一デザインも好き。

 しかしこのお花摘んでた愛らしい筥王くんが後にややオラついた荒武者になるなんて…と最初は驚いたんですけど、別当とのやり取り見てると割と元の性格はやんちゃなお調子者だな??笑
 虫を着物に擦りつけられた時の別当の反応が好きです。

・M8『あやなす音』
 曲自体もとても好きですが、この一緒に歌っているけれど違う場所にいる、季節がどんどん過ぎていく、多くの人とすれ違う、けれどお前はいない、という演出がとても良くてその中で2人が子供から大人に姿を変えていく様がとても美しかったです。
 初見時はいつ姿変わったのか気付けなくて何が起こった?!状態でした…笑
 三浦くん拘りのお団子解くとこをもうちょいしっかり見たかったな!と思いつつ2人ともを見たいので目も画面も足りない状態でしたね。
 1部のそれぞれのフューチャリング映像も円盤特典に付けてくれ…。
 十郎は仇打ちの誓い、なのに対して十郎は兄上との誓い、で兄主体っぽく一見聞こえるのに後半では「覚えている 確かに交わしたあの契り」と兄の方が言葉が重くなってるな??!というのがびっくりポイントでした。お互いがお互いを支えるよすがなのだな…。

・M9『巣立ちの舞』
 兄弟の再会…!
 あの五郎の読経がいい声過ぎて自分の葬式で流して貰いたいので音源化してくれ!!と思ったのは私だけじゃないと思うんですけど、いい声でしたね…。ほんの20分?30分前に「はにうえ〜〜」って言ってた人と同じ声とは思えぬ美声。
 目元の見えない笠に黒衣、錫杖と衣装も完璧で。
なのに相手が十郎と知った途端にぴょんこぴょんこ跳ねちゃうのがとても可愛くて!
 その後すぐはしゃいだ自分を取り繕うように厳しく兄者呼びするのも益々可愛いわ…。
 仏の道を訊かれて「あん?」って応じるあの声のトーンがややガラ悪くて好きです。
 あ、あと十郎が普通の袴で五郎がたっつけ袴なのも好き…。いやもうさっきから好きしか言ってない。語彙の欠落…。

 別当から授かった膝丸、暗くて見え難いけど母との別れのシーンで後ろに兄の刀と一緒に掛けて置いてあるよ、と教えて貰ったのですが、そうなると刀の膝丸は母と曽我兄弟の別れの場に在った、という側面がここで補強されたと取れるんですよね。この場面に刀は不要なので、わざわざ置いてあるということはそこに意味がある…。

 「巣立ちの舞」の時の2人の陣羽織のサイドにこのプリーツを置いたデザイナーの小原敏博さん、まじ天才ですよね…。2人の舞に合わせてひらめく様が本当に優美。
 そして流れるようにしなやかな十郎の舞に対して五郎のきびきびとした動きの剛の舞。
 歌声は剛柔逆なのも本当に対という感じで素晴らしくもうここに至っては五体投地ですよね。美しさが極まってる…。
 そして最後のハモリ部分は十郎が上、五郎が下の音を歌ってると思うんですけど、歌い方の寄せ具合、声の溶かし具合が凄くて兄弟の志しと想いの一致を感じました。
 千秋楽の十郎の荒ぶって捲れ上がった右袖があまりに綺麗に捲れてて、たまたまだとおもんですけど絵的に美しくて偶然の神様ありがとう…。

・M10『再びの雁が音』
 仇討ちに赴くに当たって十郎は袖の括り紐で袂をたくし上げてるのが袖括りの本来の使い方をしてて良いですね…。最初は襷かな?と思ったんですが背面見たら違ってた。目尻の朱の化粧は歌舞伎の曽我十郎の踏襲。
対する五郎のむきみ隈も歌舞伎の曽我五郎の踏襲ですね。諸肌ではなく片肌脱ぎなのは絵的なバランスかな…。
 いやもう、歌舞伎役者でもなければ舞台で隈取り姿を見ることなんてそうそうないと思うんですけど、見せてくれてありがとうございます…。
 若く美しいお顔にこのメイク、この髪、この衣装…。もう和風耽美の極致ですよね。

 そんな美しい2人が本懐を遂げて瀕死の体ながら喜びを分かち合うところ、五郎の頰に手をやる十郎の仕草が筥王の頰に手をやる一万の仕草と同じで…。兄弟尊いな……。
 十郎の指で五郎の隈取りがひと筋乱れるのとか、ぼたぼた落ちる汗が涙のように見えるだとか、この辺は映像作品ではなく舞台ならではですね。
 兄弟ただ折り重なって死ぬのではなく、兄の身体を地面に付けないよう自分の身体を下に置く弟とか細かい部分に2人の関係性が見えるのも本当に良かったです。
 曽我兄弟と髭切、膝丸の2組の兄弟の理想の最期を見せたのち、またモノに戻ることで収束する物語はまさに物が語ったお話だったと思います。

 G線上のアリアはヴァイオリンのG線のみで演奏出来るのが通称の由来ですが、え、まさか源氏のGで駄洒落で使ってる…?とか一瞬思ったんですけど真相やいかに…。
 誰でも知ってる追悼の定番曲でもあるので曽我兄弟の鎮魂の意味もあるのかな、と思いつつ。ちょうど公演期間も仇討ち決行日と近かったですしね。


<2部>


 あの、ちゃんと演出だと理解してるんです。
 2人は演出通りにキャラを演じつつ歌って踊ってのパフォーマンスをしてくれてるんです。
 それを理解した上で言うんですけど、この兄弟お互いを好き過ぎじゃない?????いや、知ってたけど。
 つか兄者、弟が気付いてないところでめっちゃ真顔で弟見詰め過ぎじゃない????凄い執着をありがとうございますって言うかもうそもそも1部の任務からしてつはものの時に箱根に行ってみて、もしそこに自分が存在していなかったらどうしよう…という不安を覚えてしまった膝丸の為のようなものじゃないですか。
 まあ、髭切より不確かさに勝る膝丸の存在が確かになれば自動的に髭切の存在もより確かになるので自分の為でもあるんですけど、五郎だけ生き延びて頼朝と対面のち斬首という従来の曽我物語を踏襲すればそこで明確に頼朝の持つ髭切と五郎の持つ膝丸は再び邂逅した、と明確にできるのにそれをせずに兄弟は折り重なって共に息絶えた、と刀の自分達の邂逅より兄弟の理想の終焉を見せることを選んだ辺り、髭切はきっと審神者が用意したであろう脚本に口を出してると思うんですよね…。
 劇中でこれだけ頼朝の名前を出しとけば兄弟亡き後は回収されて髭切膝丸は再び相見えるってわざわざ形にして見せなくても判るでしょ?みたいな。
 どうせやるなら曽我兄弟が迎えられなかった理想の終焉(自分達の理想の終焉でもある)を…という膝丸の存在を確かなものとして補強しつつ曽我兄弟を鎮魂する欲張り仕様になってるのはその所為かな、と私は捉えたんですけど、それを踏まえてのあのガン見、あの真顔、と見るとホントお兄ちゃんのほほんと見せ掛けて執着が凄い。
 もちろん個人の解釈なので演出の意図は全く違うかも知れませんが、私の目にはそう見えました。強めの幻覚です。

 こちらも御覧の通りとっちらかっていくので曲目ごとの感想形式で。

・S1『クロニクル』
 白黒ゴシック衣装!!レース増し増し!!!!
 2次創作の吸血鬼パロで見たことあるやつだ???!ってなりましたよね。リボンが紫なのは源氏の竜胆紋由来かな?
 スパンコールついてるし重そうな衣装ですが2人とも華麗に回って跳んで凄い…(小並感)
 めっちゃ好きな曲調です。
 髭切の「四肢に絡みつく」「脳裏にへばりつく」のとこの歌い方がちょう好き…。
 あと、膝丸が膝をつくと傅く従者っぽくなるのに髭切が膝をつくと膝ついてるのに惣領感滲み出るの何なんでしょうね…。

・S2『Surrender』
 振り付けが可愛い!踊る側からしたらめためなハードだと思いますが…2人ともこんだけ動いてよく歌えるな??
 あと何回見ても我が目を疑うんですけど何故客席そっちのけで互いにファンサし合う…??? え、どういう演出????投げキッスに??指差し??何してんの君ら……???
 いや向かいから見たら投げキッスではないのかも知れんけど???私の目はちゃんと見えてるのか不安になりますね…。え、どうなの???
 タイトル発表されるまでずっと「I surrender」じゃなく「愛されんだ」だと思ってました。自信満々か?兄弟仲良し相思相愛なのは知ってるわとか思ってごめんなさい…笑


 トークは膝丸の姿で筥王の声が出てくると脳が!!混乱する!!!
 弟の為なら今回みたいな任務もこなすけど(これ、今回の任務の発案には髭切が噛んでると思ってるので)その弟の頼みでも自分が不要だなと思ったことは一切やらない兄者、めっちゃ解釈が合う…。

 向こうでもやってあげなよ、とか言うのに自分は一切やらないナチュラル惣領。
 やらないよ?って言う前に溜め息ひとつ吐くの良い…。
 取り敢えずミュの髭切は弟の名前は全部覚えてるけど忘れたと嘯いて敢えて呼ばないやつだな、と思いました。弟の逸話を等しく受け入れるなら一つの名前に固定出来ないもんね…。
 膝丸は兄者呼びで無意識に逸話全てを内包してるけども。

・S4『Just Time』
 衣装が吸血鬼から王子に。
 腰布の内側が赤に白二引きの曽我兄弟の柄だ〜〜ってなってたんですが、儚い命でした腰布…。1分もなかった。
 まあ、あれ巻いたままピルエットも側転も出来ないもんね…笑
 でも2部は1部と地続きだよ感があって良かったです。
 曽我兄弟の定番柄だと知らない人には何故その衣装にいきなり赤と白???ってなりそうですけど…。
 最後兄者に頭ポンポンされてる膝丸可愛かったですね…。

・S5『不安定なFantasy』
 不安定なファンタジーって髭切、膝丸の逸話のことか??と思いましたが、ディレイ配信でよくよく聴いたら歌詞の内容はそんな不穏なものじゃなくてホッとした曲です。普通に可愛い曲だった…。
 離れ離れになってる時期の兄弟がお互いに今この背中に羽根があれば…って思ってる曲だと勝手に認定してます。思うだけなら自由だろうって歌詞でも言ってるし!笑
 サビがキャッチーで好き。ライブだとちょっとキーが高いのか声が掠れ気味になってましたが、その掠れ具合?上擦り具合?が逆にグッとくるやつでした。

・S6『Kizuna』  
 冒頭と最後、兄者ちょっと弟を真顔で見過ぎですね?????ってなったやつ。それ以外でも背中をよく見てるような…。
 その真顔の意味を教えて……美形の真顔怖い…。
 執着…に、見えてしまいます……。

・S7『獣』
 この曲を2人でやるとは思ってなかったのでキャーッてなりました。グラフィックポイ、やっぱ舞台映えするもんね…。
 膝丸の腹掛、首の紐を緩く結び過ぎなんだと思うけど位置が下過ぎて見ててハラハラして画面に集中出来ない!!ってなってたんですけどwww 
 回によってはtkb見えてたとか聞いたので再演の際はもうちょい上で結んで下さい…笑
 いやもう胸筋も見事なので別に見せてくれてもいいけどあられもないので出来るなら出し惜しみしてしまっといて欲しい。目のやり場に困るので!
 衣装の右側が兄弟で白黒逆転で相手の色になってたのが新鮮でした。

・S8『舞』〜G線上のアリア
 日舞の素養は全くないんですけど、手の仕草、ちょっとした膝の落とし方でとても嫋やかに可憐に見えるの凄いなぁと思いました。
 本当に加納さんに出て頂けて良かった……と心の中で手を合わせて拝みました。

 これ何故G線上のアリアだったのかな…。Gは源氏のG??とか思ってしまったけどそんな駄洒落…??

 バイオリンのG線しか使わないからこの俗称が付いたんだけど、これも源氏に連なる物語だからかな?


・S9『双つの軌跡~交わる時~』
 追加された歌詞、が…!が!!最高で!!!!
 語彙、語彙が来て……
 何度道が分かたれても引き寄せられて集う、交わるって…て……満ちては欠ける月の光と闇て……完璧に対の存在…。いや、対なのは知ってるけど!!めっちゃお互いを求め合ってるじゃん???!!って……いや知ってたけど。知ってたけどそんな明確に言葉にされると思ってなかったし、弟の「誰かの隣」が「あなたの隣」に変わるなんて思ってなかったじゃないですか。
 見慣れた戦闘服に衣装替えしたことも相俟って、1部2部通してのクライマックス感半端なかった…。
 あと上手く説明できないけど満願成就してこの曲に到った、という感覚がありました。
 いやもうこの戦闘服姿がやっぱり二振の基本だよね…。めっちゃカッコいい。

・S10『刀剣乱舞』~髭切膝丸 双騎出陣~
 毎回『双つの軌跡』で魂抜かれてぼんやりしたまま観ることになってるんですけど、大体いつも兄者の「万古不易の剣 活殺自在さ さぁ行くよ」の溢れる惣領みで我に返ってます。生かすも殺すも自分次第…相手の生殺与奪を完璧に握ってる…。

 他にも細かいことを言い出したらまだまだあると思うんですが、キリがないのでこの辺で。
 本当に双騎出陣、上演ありがとうございました。
 そして再演ありがとうございます。
 チケットをご用意されるべく来るべきその日まで徳を積もうと思います…。